信仰生活の羅針盤(18)

峯野龍弘主管牧師

第9章 信仰生涯における勝利の秘訣<前回に続く>

B.主の愛に常に守られていると言う確信に立つ

さて次に、お互いキリスト者が、戦い多き人生において常に勝利を勝ち取って行くためには、どうしたら良いのでしょうか。使徒パウロは、こう記しています。「では、これらのことについて何と言うべきでしょう。神が味方なら、誰が私たちに敵対できますか。」(ローマ8:31)と。そうです。どんなに弱く、小さな存在であろうと、その人が敵よりも遥かに強い、大きな力を持った人を味方に持っていたとしたら、どうでしょう。しかも、その強い大きな力を持ったお方が、その人と片時も離れず傍にいて、警護してくれていたとするならば、その人は敵を恐れるでしょうか。そんなことは決してありません。その方が、必ず守ってくださるからです。何と言う安心、何と感謝なことでしょう。

そこで使徒パウロは、ローマにいる兄弟姉妹たちにこう言ったのです。「神が味方なら、誰が私たちに敵対できますか」と。神に優る味方が、何処にいるでしょうか。何処にもいません。決していません。神は、ただお一人であって、全能者です。全世界、全宇宙、万物はこのお方によって創造されました。このお方には、不可能はありません。それだからこそ、神と呼ばれるにふさわしい、唯一の御存在なのです。そして今や、このお方がお互いキリスト者の味方なのです。しかも、このお方は、常にお互い一人一人と共におられます。そして、こう言われるのです。「私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」(マタイ28:20)と。そうです、「いつも」(常に)、そして「世の終わり」です。つまり、「常時」、「間断(かんだん)なく」、「一生涯」共にいて下さるのです。まさに、「生涯保障」して下さるのです。

では、どうして神は、ここまでしてお互いを守り、味方となって下さるのでしょうか。それは言うまでもなく、神がお互いを愛して下さっているからです。どれほどお互いは、神に愛されているのでしょうか。使徒パウロは、それはお互い一人一人のために、父なる神は、「御子をさえ惜しまず死に渡された」(ローマ8:32)ほどにだと説明しています。このことをヨハネは、こう記しています。「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、宥めの献げ物として御子をお遣わしになりました。ここに愛があります。」(Ⅰヨハネ4:10)と。そうです。父なる神は、罪人であるお互いを救うために、お互いの犯した罪の代償として、その独り子イエス・キリストをお遣わしになり、その御子の身代わりの死によって、お互いの罪は赦され、救われ、神の子としていただくことが出来たのです。それほどまでに神は、お互いを愛して下さったのでした。

ですから使徒パウロは、更にこうも記しているのです。「誰が、キリストの愛から私たちを引き離すことができましょう。苦難か、行き詰まりか、迫害か、飢えか、裸か、危険か、剣か。…これらすべてのことにおいて、私たちは、私たちを愛してくださる方によって勝って余りあります。私は確信しています。死も命も、天使も支配者も、現在のものも将来のものも、力あるものも、高いものも深いものも、他のどんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から私たちを引き離すことはできないのです。」(ローマ8:35~39)と。ここにこそ、キリスト者が、人生における如何なる逆境・試練・困難な戦いに遭遇しようとも、決して敗北することなく、勝利することが出来る最高の秘訣が記されているのです。それは、常に共におられ、お互いを決して敵に引き渡すことのない全能者である神の愛、キリストの愛が、私たちお互いを守って下さるからです。パウロは、この神の愛、キリストの愛が、しっかりとお互いを繋ぎ止め。決して敵の手に引き渡すことがないことを、確信していたのでした。だから、神が味方であり、御子イエスを賜ったほどの大きな神の愛が自らと常に共にあり、味方となって守って下さる限り、自らには人生における如何なる戦いがあろうとも、決して敗北はなく、いやそれどころか「勝って余りがある」と宣言することが出来たのでした。そうです。まさに今日におけるお互いの人生においても同様なのです。勝利を確信して、歩もうではありませんか。ハレルヤ!(続く)

峯野龍弘(みねの・たつひろ)

1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。