信仰生活の羅針盤(19)

峯野龍弘主管牧師

第9章 信仰生涯における勝利の秘訣<前回に続く>

Ⅽ.御心に適う祈りは必ず聞かれると言う確信

さて更に進んで、次は主の御心に適う祈りは、必ず聞かれると言う確信です。これまたお互いキリスト者の生涯における、勝利の秘訣です。お互いの生涯には、次々と試練・逆境・困難と言う名の戦いが待っています。このような戦いに遭遇しない人生などは、存在しません。だから主イエスは、こう言われました。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。私はすでに世に勝っている。」(ヨハネ16:33)と。

では、お互いはこのような苦難に遭遇した時、どうすれば良いのでしょうか。そうです。この「苦難に対する勝利者」であられる主に祈り求めればよいのです。主イエスは、このお言葉を発する直前には、かの有名な「ぶどうの木」の譬(たと)え話をされました。その際に、「ぶどうの木」にしっかりとつながっている枝は、実を結び、しかも良い実を豊かに結び、神の栄光を顕わす者となると言われました。のみならず、主は、こうも言われました。「父が私を愛されたように、私もあなたがたを愛した。私の愛にとどまりなさい」(同15:9)と。なんと主は、私たち一人一人を深く愛して下さっておられることでしょうか。その上で、こうまで言われました。「あなたがたが私を選んだのではない。私があなたがたを選んだ。あなたがたが行って実を結び、その実が残るようにと、また、私の名によって願うなら、父が何でも与えてくださるようにと、私があなたがたを任命したのである。」(同15:16)と。これらの御言葉は、いかなる真理を私たち神の子・キリスト者に物語ってくれているのでしょうか。そうです。主は御父が、ご自身を愛されたように、ご自身もまたお互いを深く愛され、私たち一人一人を特選の神の民としてこの世から選び出し、そして悩みや戦いの多いこの世に遣わし、豊かな勝利の実を結ばせ、しかもその実がいつまでも残るように任命して下さったのでした。のみならず、この任命は、この世における諸々の悩みや戦いに勝利するために、主イエスの聖名によって願うなら、御父が何でも叶えて下さると言う、素晴らしい約束と保障付きの任命でした。これこそ、まさに、悩ましい戦い多き人生に勝利して行くための「勝利の秘訣としての祈りの奥義」を明示して下さった主イエスの真理だったのです。ですから、弟子たちに随所で祈ることを教えられたのでした。「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。叩きなさい。そうすれば、開かれる。誰でも、求める者は受け、探す者は見つけ、叩く者には開かれる。」(マタイ7:7~8)。「だから、言っておく。祈り求めるものはすべて、すでに得られたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになる。」(マルコ11:24)。「誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。」(マタイ26:41)と。

ですから使徒パウロは、エフェソ教会のキリスト者一同に、かの有名な激励のメッセージを書き残したのでした。彼は、「最後に、主にあって、その大いなる力によって強くありなさい。悪魔の策略に対して立ち向かうことができるように、神の武具を身に着けなさい。私たちの戦いは、人間に対するものではなく、支配、権威、闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊に対するものだからです。」(エフェソ6:10~12)と前置きしながら、その戦いに勝利するための防具と攻撃用具について列挙した上で、如何なる防具や攻撃用具にも優って最大の重要事として「祈り」について書き記しました。「どのような時にも、霊によって祈り、願い求め、すべての聖なる者たちのために、絶えず目を覚まして根気よく祈り続けなさい。」(同6:18)と。なぜなら彼は、祈りこそがこの世との戦いばかりか、それ以上の究極の戦いであるサタンとの戦いに対しても勝利を勝ち取ることのできる最強の「武器以上の武器」であることを確信していたからでした。そうです。祈りこそが、お互いキリスト者の人生における諸々の戦いに打ち勝つための「勝利の秘訣」です。愛兄姉方よ、各人、祈りによって人生の戦いに打ち勝つ「祈りの勇者・勝利の祈り手」であってください。

峯野龍弘(みねの・たつひろ)

1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。