第41回「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」

気持ちの良い秋晴れの中、第41回目「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」が開催されました。10回以上参加されている方が多い中、初めて来られた方も7名ほどおられ感謝でした!

 

まずは、樋野先生の愛唱かであり、「@よどばしカフェ」のテーマソングの一つになっている「365日の紙飛行機」を皆さんと大熱唱。

 

1年は、365日。「かけがえのない一日を大切にしたい」と思っても、病気や目の前の課題に心がとらわれ、あっという間に過ぎ去る日々・・・。そんなジレンマの中、「なんとかこの悩みを解消したい」と参加された方も複数おられました。

 

今まで気づかなかったことに気づくように、今日が少しでも喜び楽しみながらかけがえのない日として過ごせるように祈りつつのカフェのスタートとなりました。

     

 

では、早速、前半の樋野先生の講話のご紹介。

 

☆「万座温泉(メディカル・ビレッジ)でミュージカル」
 →2018年3月7日
 →「365日の紙飛行機」「四季の歌」「糸」の3曲  

 

 

☆「縦の門と横の門」
 →縦の門(内村)と横の門(新渡戸) 
 →この2つがあるとバランスがとれる
 →一つだとバランスが崩れる
 →人間は多様性
 →相異なるものが共存すると健全
 →新渡戸稲造の札幌農学校の同級生に内村鑑三がいる

 

 

☆「『いたわり』は、生命現象から学ぶ」
 →世界平和を学ぶには生命現象を学ぶと良い
 →体は、1個の受精卵から始まって、約200(世界の国の数)の組織・臓器からなる。
 →虫垂炎(盲腸)など、炎症が起こって発熱すると体全体が悩む=「いたわり」
 →健康な時にはほっとけ(存在だけは認めて、気にするな)
 →健康な時にごちゃごちゃいうのが人間
 →どうでもよくなるのが良い

 

 

☆「365日の石段は、伊香保温泉にある」
 →伊香保の階段の両側に旅館がある。
  真ん中ぐらいの旅館に新渡戸が保養した宿がある。
 →新渡戸は札幌農学校の先生の時に鬱的になり、日本での保養先の一つは伊香保温泉。
 →新渡戸は保養期間に、「農業本論」をまとめ、後に、日本初の農学博士となる。
 →「もしかするとこの時のため」
 →人生の大変な時でも「やることがある」。

 

 

☆「群馬の沼田病院で新島襄と内村鑑三のシンポジウム」
 →共に群馬出身。
 →内村鑑三も鬱的になる。
 →札幌農学校を卒業し、フィラデルフィアの施設で働いた時に鬱的になった。
  同級生の新渡戸は困って、新島襄にフィラデルフィアで内村に会ってもらうように頼んだ。内村は元気になってボストンに行き、アマースト大学に行って日本に帰ってきた。

 

 

☆「誰もが悩むが、如何に解消するかが重要!」
 →新渡戸稲造も内村鑑三も悩んでいた。

 

 

☆「われ21世紀の新渡戸にならん」  
 →2003年に、樋野先生が最初に出した本 
 →2018年に15年ぶりに改訂版が出る。

 

 

☆「北京大学で樋野先生の中国語訳の出版記念講演」
 →2017年11月27日
 →「がん哲学」は中国の医療者にも興味があるらしい。
 →中国でもがん患者と医者との間に隙間がある。
 →どのように告知し、説明するのか悩む。世界共通。

 

 

☆「国際教養~がん哲学と新渡戸稲造」
 →国際貢献  
 →日本の役割は何か?
 →2018年3月はアメリカ

 

 

☆「人間に必要なのは『賢明な寛容さ』」
 「行動よりも大切なのは静思」
 「理念が必要」
 「実現と実行を示す」
 「すべての始まりは人材(一人の人間が世界を動かす)」

 

 

☆「がん研究から学ぶ」
 →1個の細胞を地球の大きさに例えると、
  染色体は国の大きさ、
  遺伝子は町の大きさ、
  1個の塩基は一人の人間の大きさ
 →1個の塩基が異常になって細胞はがん化する。
 →一人の人間が地球をがん化させる
 →一人の人間が地球を動かしていく。
 →「仲間がいないからできない」と言うのではなく、「一人でやる」
 →生命現象から具象的に語る

 

 

☆樋野先生は、19歳から本を読み始めた。きっかけは、19歳の時の樋野先生の恩師は、南原繁が東大総長の時の学生だった。恩師から南原繁の話を毎日聞いた。南原繁の本を読むと「明治以降、新渡戸先生にまさる人物はない」と書いている。だから新渡戸の本を読むようになった。その後、新渡戸、内村、南原繁、矢内原忠雄の本を夜を徹して読むようになった。

 

☆「1日1時間本を読むと疲れ、外に出れる。中途半端に悩むな。」

 

 

☆「スマホの電子教科書」
 ある大学では、樋野先生は教科書(本)を使用するが、学生たちはほとんどスマホのデータ書籍。
 スマホは便利で、鞄も不要だが、ほとんど読んでない。
 朗読の時に、どこを読んでいるのかわからない。
 スマホのテキストは、目が疲れるし、線をひけない。

 

☆「教育とは・・・」

 

☆@医学生や看護学生でも教科書を読んでない学生・・・漢字が読めない・・・医療が劣化・・・

 

 

☆「脳の引き出しにいれれるようなこどばを今から集める(訓練)」

 

 

  

 

 

そして、近況報告と分かち合いのひと時。
「目の前の人が世界を動かす人かもしれない」との司会者の言葉に皆さん微笑んでおられました。

 

各テーブルの様子を聞いてみました・・・

 

☆他ではできない色んな話ができて、ワクワクするようなひと時でした。

 

☆初めてのメンバーでしたが、皆さん知識が豊富で、また別の講義を聞いたような恵みの時でした。『もっと聞きたい』と思い、対話の素晴らしさを感じました。

 

☆非常に困難なことを受け入れ、前向きに生きておられる「新しい生き方」を伺うことができました。

 

☆外国から一時帰国されている方から、現地での医療状況を聞くことができました。

 

☆色々な思い出づくりができました。

 

☆テーブルの人と話すことで、視点が広がる時となりました。

 

☆インターネットで調べて参加された2人と、本を読んで直に話を聞きたいと思った方と4人のテーブルでした。有意義な温かいひと時を過ごせて感謝でした!

 

☆胸元に癌患者のしるしの、素敵なピンクのリボンのブローチをされていました。「無駄なことをしてきました」という方もおられましたが、その方は色んな宝物があって、その中から素晴らしいことを沢山教えてくださいました。

 

☆「本ももちろんいいですけど、テレビの中にも最近素晴らしいものが沢山あるね」と分かち合いました。

 

  

  

 

さて、後半の樋野先生の講話です。

 

☆「「無邪気に喜んで、底が抜けない『空っぽの器』になる」
 →誰かが水を入れてくれる。
 →「@よどばしカフェ3周年記念誌の樋野先生の巻頭言より」

 

☆新渡戸稲造は、第一高等学校の校長の時に「学生は、校長室は敷居が高いので、相談に来づらい」と、学校の近隣に、木曜日の午後「場所」を設定しました。「教育とは、『空っぽの器の場の設定』」でもありましょう。「人生とは、『器に水が入っても穴が開かないよう頑丈』にしていく訓練」であり、「良い出会いとは、『空っぽの器に水を入れてもらう』こと」でありましょう。しかし、現代、自分で水を入れている人が多いのではないでしょうか? しかし、それでは、もったいない。器が空っぽなら、誰かが水を入れてくれ、心が満たされることでしょう。まさに『がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし』は、「無邪気に喜んで、底が抜けない『空っぽの器』の提示」でありますね!

 私は、癌研時代の恩師、菅野晴夫先生から「『広々とした病理学』=『病理学』には限りがないことをよく知っていて、新しいことにも自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力するように」と、学びました。菅野晴夫先生は、「吉田富三先生が、自分に、話された言葉であるので、お前にも伝える」と、次のように語られました。

30代は、人に言われたことを、がむしゃらにやれ!
 40代は、自分の好きなことに、専念せよ!
 50代になったら、人の面倒を見よ!
 60代になっても、自分のことしか考えていなかったら、恥と思え!

 

「自分が一番大切と思ったことを、次の世代に伝える」心得です。

1、先に生まれたものは、後に生まれたものを、導く
2、後に生まれたものは、先に生まれたものを、訪(と)う

 

 

☆「40代は、自分の好きなことに、専念せよ!」
 →日本人の40代で『自分の好きなこと』が分からない人が多い

 

 

☆「日本人は『人の面倒を見ることが義務』だと思ってる人が多い」
 →若い時に人の面倒を見ると強迫観念に陥る。人に譲れない人になる。
 →人に譲ると自分が何をすべきかわかる

 

 

☆「愛はことさらおこすなかれ」
 →津波、地震の応援に行っても、悲壮感が漂っており相手が嫌になる。
 →一番困っている人が「あなたの顔を見たくない」と言う。
 →がん哲学外来でも同じ。同じテーブルで・・・
  同じテーブルで1時間苦痛にならない対話の訓練。

 

 

☆「チャウチャウ犬のような顔になる」
 →相手を馬鹿にしたようなにやにやした顔の日本人が多い。
 →チャウチャウ犬は一生懸命してるのに・・・相手は慰められる。

 

 

☆「マイナス×マイナス=プラス」
 →自分が犠牲になっても心が豊かになる。
 →高尚な生き方の訓練のためのカフェ

 

 

☆「プラス×マイナス=マイナス」
 →日本に起こってる状況

 

 

☆「多くの人にとって『尊敬する人物』がいない現代」
 →昔は交通の便が悪くても皆、尊敬する人を求めて色んな所に行っていた。
 →今は、交通が便利になり、ネット社会だが・・・

 

 

☆「騙されても後悔しない」
 →法然上人と親鸞

 

 

☆「自分のことに一喜一憂するべからず」
 →外に関心を持つ

 

 

☆「歯を食いしばって人を褒める」
 →人は評価してはいけない
 →存在自体に価値を求める
 →「ほっとけ」
 →嫌な人間が来た時に、「どういう態度をとるか」を学んでいない。
  深刻な顔をして下を向いてお茶を飲むと相手は去っていく。
 →自分に関心を持ってくれる人が必ず一人はいる
  百人が自分を否定しても、一人は背中をちゃんと見てくれている

 

 

☆病理学は風貌を見て心まで読む
 →正常細胞とがん細胞の違いを形態学で診る。
  病理解剖、死体解剖。
 →人生のむなしさから出発してるから人と比較しなくなる。
  「ほっとけ、気にするな」

 

 

☆「気にするな」 by マザー・テレサ
 →毎日批難されていたシスターに対して、マザー・テレサの言葉

 

 

☆矢内原忠雄は父のことで悩んでいた時に、内村鑑三に相談したが・・・
 内村先生は、立って窓際に行き、風景を見て「私も分からない」。
 矢内原忠雄は、内村先生も「わからない」と悩みは解消した。

 

 

☆「悩みの優先順位を下げる=解消」
 →悩んでもOK 
 →「Why?(なぜ)」は問えない。 
 →「How?(どのように)」対応するかは、自由意思。  
   解答は与えられていない。  
   人生はいつも分れ道に立ってる。

 

 

☆「なぜ自由意思が与えられたのか?」
 →アダムとエバ

 

 

☆奄美群島
 →日本で最も長寿だった泉重千代さんの家を訪問
 →「気にするな」

 

 

☆「寿命」  
    →アダム(930歳)とエバ(記録がないのでわからない)
 →ノアは950歳
    それ以降寿命は短くなった。
 →モーセの時に120歳

 

 

☆「自分の人生をプレゼントとして与える」
 →無頓着なほどに大胆に人のためにやる

 

 

☆「なぜ、死ぬようになったのか?」
 →蛇の質問に言葉の付加と削除をした
 →イエスかノーで答えればよかったのに
 →「もしかすると」
 →「がん」=「遺伝子の付加や削除」=「突然変異」
 →生きるということががん化への道。
  37度で保温されている限り、必ずDNAに傷つく
 →100年前は日本の寿命は40歳、今は80歳。
  がんが増えてるように見えるだけ。

 

 

☆「がんは2人に一人、認知症は3人に一人」
 →がんと認知症は逆相関するという見解もある

 

 

☆「Quality of Death」クオリティ・オブ・デス
 →「Quality of Life」クオリティ・オブ・ライフだけでなくクオリティof Death
 →臨終の言葉をユーモラスに語る
  ◎哲学者カントの臨終の言葉「これで良い」
  ◎勝海舟の臨終の言葉「これでおしまい」
  ◎内村鑑三の娘17歳のルツ子 「もういきます」

 

 

☆「悲壮感をもたずにユーモアをもって語る人物になる」
  →「ユーモア」=「あなたがもっと」

 

 

☆「『いい加減に見えますか?』と言える人物になる」
 →南原繁が教育基本法を作った時に、国会に呼ばれ質問を受け、ヤジがいっぱいとんだ時に「私がいい加減に見えますか?」というとヤジがストップした。
 →皆が「良いね」と言うことだけでなく、訳の分からないことを言う(する)。

 

 

  

 

今日も良い時を与えられた時と出会いの祝福に感謝!

いつかこの地上を去る時に「これで良かった」と言えるように一日一日を重ねていくことができるように。
次のカフェまで一人ひとりを守り支えられますように祈りつつ会は閉会となりましたが、皆さん、今日出会ったばかりとか思えない程意気投合してお話を続けておられました。書店で樋野先生の本を購入し、樋野先生から直筆サインをもらって大喜びの人たちも多数!

 

 

本当に、色んな情報に溢れた時代に、「いかに良い物を選ぶか」が大切ですね!

樋野先生のメディカル・カフェに関する著書が沢山出版されています!モリモリ読みましょう☆

 

 

次回は12月11日(月)13:30~16:00です。皆様のお越しをお待ち申し上げます☆
曜日がいつもと違いますのでご注意ください!

 

2017年の予定

   

 

 

2018年の予定

 

 

さて、2018年の年間予定が確定しました!来年も樋野先生が来て下さることになりました! 
詳しい日程はこちらをご覧ください。

 

 

※個人面談は、毎回3人程可能ですが、事前申し込みが必要です。個人面談をご希望の方は、3日前までに yodobashi@church.email.ne.jp または03-3368-9165 で、中村和司/市川牧子担当教師宛でご連絡「○月メディカルカフェ面談予約」でお申し込みください。最近は、事前申し込みをしないと、当日では面談してもらえないことが多いのでご注意ください。

 

※個人面談が不要の場合は、登録の必要はございません。当日お気軽にお越しください。

※ご多忙の樋野先生のご都合などにより3週間ほど前までは日程変更もありえますので、このサイトや電話などで直前に今一度ご確認くださいませ。 

 

なお、「がん哲学外来 メディカルカフェ@よどばし」の第一回目から今回までの内容は こちら にアップされていますので、時折思い出しては何度も読み返してみられるのも良いかもしれません。先生の顔写真などの画質は相当小さくしていますが、雰囲気はお楽しみ頂けると思います。

 

 

さて、樋野先生の出版されている著書は実に沢山あるのですが、以下の本などは「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」でもお買い求めいただけます。本当に連日テレビや雑誌で樋野先生や「がん哲学外来」や「メディカル・カフェ」が取り上げられています。すごいです!

 

樋野先生の柔和な表情をご覧いただくだけでもほのぼのしますが、ことばの処方箋素晴らしいですね!よく効きます!無料!副作用ゼロです!年間の予定が出ていますので、是非、お気軽にいらしてください。途中の出入りもOKです!

 

様々なことで、どうしても参加が難しい方には、沢山ある書籍の中から特に以下のものをお勧めいたします☆
先生が、よく言われる言葉に「人生の3大邂逅」があります。その中の一つ、「よき読書」です!

 いい覚悟で生きるがん哲学外来から広がる言葉の処方箋  明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい

見上げれば、必ずどこかに青空が  がん哲学外来へようこそ (新潮新書)

あなたはそこにいるだけで価値ある存在   がん哲学外来で処方箋を カフェと出会った24人

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※著書「がんに効く心の処方箋 一問一答」は、実は、最近の隠れた「メディカル・カフェ@よどばし」でのベストセラーです。他の本も人気があるのですが、ここ数ヶ月は一番人気です(笑)。

 

 

そして、なんと「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」が中国語に翻訳されました!
韓国語版も販売されていますが、題名が「偉大なるお節介」となっていますのでご注意ください。

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とにかくすごいです!次から次に毎月のように著書が出ています!

 

どなた様も、お気軽におらしてください☆

がんの方も、がん患者の家族の方も、人間関係に疲れておられる方も、元気な方も、初めて方も、「将来のために」備えたい方も・・・どなた様も大歓迎です☆


※2017年の予定は こちら

※2018年の予定は こちら

※淀橋教会への行き方は こちら

 

 

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さて、この素晴らしい樋野先生の講話・・・実は日本各地、時には海外で連日のように講演をされています。
詳しくは 「一般社団法人 がん哲学外来」 をご覧ください。

現在94カ所ほどのメディカル・カフェが全国で行われていますが、全国に7千ヶ所必要と言われています。
医療の隙間を埋める場として、ますます必要が叫ばれているこの働きがさらに広がっていきますように!
世界の悩める人々のために豊かに用いられますように!