第45回「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」

一年はあっという間に過ぎますね。365日、一日たりとも同じ日はありません。
この間まで寒い寒いと思っていたのに、いつの間にか春を迎えております。まだ寒い日もありますが、真冬のようなことはありません。同じように人生の様々な問題・課題の中では、『まさかこんな日(悩みが解消される日)が来るとは思わなかった』と体験することもきっとあるでしょう。今回も、お茶をのみながら、樋野先生のお話を伺い、同じテーブルの人たちとの対話の中でいつの間にか悩みが解消されることを願いつつ、「365日の紙飛行機」の合唱で元気にスタート!初めての方も多数、久しぶりの方も複数来てくださりうれしかったです!

     

    

 

では、早速、(格調高い)「樋野語録」前半のおすそわけです。

 

☆「今日で第45回、すごいね!」

 

☆「明日は、万座温泉でミュージカル」
 →「四季の歌」「糸」「365日の紙飛行機」を歌う。

 

☆「新渡戸稲造と伊香保温泉」
 →新渡戸稲造が鬱的になって伊香保温泉で保養した。
  新渡戸は365段の石段の脇にある旅館に泊まっていた。
 →昨年検事総長が亡くなったが、その方と新渡戸稲造のシンポジウムをやった。

 

☆「もしかするとこの時のため」
 →何がいいか悪いかわからない。
 →新渡戸稲造は、札幌農学校の教師の時、疲れ切って鬱的になった。
  1年は日本で、1年はアメリカで保養した。
  新渡戸37歳、アメリカで武士道を書いた。

 

☆「群馬県が生んだ人物~上毛(じょうも)かるた」
 →「平和の使者 新島襄」「心の燈台 内村鑑三」

 

☆「新島襄」
 →新島襄(21歳、幕末時代)は、海外のことを知りたいと思い、函館から密航。上海で船を変えて、ボストンに行き、その時の船長に認められて、ボストンの学校に入学、卒業させてもらって日本に帰って来た。密航しないと今の彼はない。
 →明治維新になると、日本は急にアメリカなどに使節団を送って学ぼうとした。岩倉具視使節団の中に英語を話す人がいなかった。そこで、アメリカにいる新島に通訳者になるように政府が言い、新島は通訳者になった。その使節団の中に、勝海舟と福沢諭吉が入っていた。その時に、新島は勝海舟に会った。
 →密航して行ったが、明治維新の時に日本に留学生として戻って来た。
 →新島が「アメリカから帰って学校(同志社大学)を創りたい」と思ったがお金がなかったので、勝海舟に頼んだ。

 

☆「自分が死んだ後に実現することを、明日実現するかのごとく語る」
 →勝海舟と新島襄(同志社大学の創始者)の会話
  勝「お前が理想とする教育をするのに何年かかるか?」
  新島「200年かかる」
  勝「それなら認めてやる」
 ※「数年で理想の教育が出来る」と言ったら勝海舟は認めなかっただろう。 
 ※同志社大学はまだ150年
 →スケールが大きい人物になる

 

☆新渡戸稲造が札幌農学校を卒業して第一高等学校(東大)に入ろうとしたが、面接試験で「こんな程度の教育を受けたくない」と思った。そして、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学に入った。新渡戸稲造が学生の時に、内村鑑三はフィラデルフィアの障がい者施設に努めていたが、働きすぎて鬱的になった。その時に、用事があってフィラデルフィアに行った新島襄に新渡戸は「内村鑑三に会ってほしい」と頼んだ。内村鑑三は新島襄に会って慰められ、内村はボストンに入学し、日本に帰って来た。

 

☆「新島襄の日記」
 →新島襄は46歳で亡くなり、著書は書いてない。
 →新島の書いた手紙が残っており、それが分厚い本になっている。
  その中に、「内村鑑三への手紙」と「勝海舟への手紙」がある。

 

☆「移動中や家で本業以外の本を読む」
 →職場で自分の本業以外の本はなかなか読めない。

 

☆飛行機の中で映画
 →「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
 →「ワンダー」
  持って生まれた障がい故に、いじめにあったりするが、その中で自己形成していく・・・。

 

☆「神谷美恵子」
 →『同じ条件の中にいても、あるひとは 生きがいが感じられなくて悩み、あるひとは 生きるよろこびにあふれている。このちがいはどこから来るのであろうか』  by 神谷美恵子「生きがい」の序文
 →43歳でがんになり、生きがいを求めて精神科医として長島愛生園に勤める。
 →神谷美恵子の御父さんは前田多門。多門の結婚式の仲人は新渡戸稲造。多門は、新渡戸が第一高等学校の校長の時の学生だった。新渡戸は、前田多門の家によく遊びに行っている。神谷美恵子が3、4歳の時に新渡戸は、美恵子を膝に抱いて頬を軽くつねった・・・これが美恵子の一生の思い出となっていた。

 

☆「苦悩の時に出会いが与えられる」

 

☆「『本を読む』か『出会い』しかない」
 →自分が尊敬する人物に出会い、その人物が出会った人物のことを間接的に聞き、まるで会ったかのように語る。
 →歴史的な人物の本を、人が何と言おうと夜を徹して読む。

 

☆「樋野先生の出会い」
 樋野先生が19歳の時に出会った人物が、南原繁が東大総長の時の法学部の学生だった。彼は樋野先生にいつも南原繁の話をした。樋野先生は、南原繁に会ったことはないが、その先生が「偉い」というから、南原繁(全集は10巻)を買って読んだ。その中に「私の先生は内村鑑三、新渡戸稲造」と書いてあり、それゆえ樋野先生は、内村鑑三と新渡戸稲造の本を読むようになった。南原はまた「明治以降、新渡戸稲造先生にまさる教養の深さと、幅の広い人物はいない」と書いている。これこそ「国際人」。

 

☆「3月29日に新訂版『われ21世紀の新渡戸とならん』出版記念会」

 

☆「個性を引き出す」
 →がん哲学外来の基本理念は個性を引き出すこと。
 →状況に関らず個性があり、個性を引き出すことが大切。
 →人を比較したり、批難したらダメ。存在自体に価値がある。
 →個性が引き出されていない。
 →個性は与えられたもの。
 →個性に気づいてくれる人に出会う。
 →個性に気づくと状況に関らず使命に気づく。
 →使命に気づけば「明日死んでも良い」と思える。

 

☆「さりげなく気にしている人がいる」
 →言葉の処方箋。 
 →お茶を飲むしかない。  
 →123ページを皆さんでディスカッション  
  テーマがないと苦痛になる

  

 

☆「苦しみのない人は人が話していても寝る」
 →樋野先生の授業中に寝る大学生
 →同じスライドを1年間使用している。
 →大学生は半分寝るが、小学生や大人は一人も寝ない。
 →苦しんでいると人の話を聞く。
 →人の話から学ぶと、心が豊かになる。

 

☆「沈黙の中でも苦痛にならない人間になる訓練をすることが大切」 
 →訓練すると、習慣になり、沈黙の世界でも苦痛にならなくなる。
 →多くの日本人は「テーブルに座ると話したくなる(沈黙の世界に堪えられない)が、1時間お茶を飲んで黙ってても苦痛にならなくなる。

 

☆「心が豊かになると、人と比較しなくなる」

 

☆「日本人の悩みの多くは人との比較、競争」
 →人と比較しないと、日間(暇)になる

 

☆「日本人の特徴は夜の6時に無性に淋しくなる」
 →健康な時には昼間は華やいだ生活をしていても・・・。
 →同じ人間なのになぜこのようなことが起こるのか学ぶ。
 →ドイツやイギリスのがん患者と、日本のがん患者の違いは?
  死の問題は共通だが日本では3分の2の悩みは人間関係。
 →がんの有無にかかわらず、人間関係で悩んでいるのが日本人。
  それが、がんになると目立ってくる。
  健康の時には外に出たりして深刻にならなかっただけ。

 

☆「心が豊かになるためにカフェをやっている」
 →問題をカフェにきて解決することを求めるのではなく、思い出づくり。
 →答えは後になって気が付く。
 →もしかするとこの時のため。

 

☆「サマリアの女~個性を引き出す」
 →暑い真昼に人目を避けて水を汲みに来る。彼女が帰える時にどんな顔で帰ったのか?
 →がん患者が苦しんで来ても、帰る時には明るく、人のために生きる人に変えられる。
  彼女が井戸で何が起こったのか?何と言われたのか?何と反応したのか?
  答えは自分で探して下さい。  ヒント:ヨハネ4章(新約聖書)

 

  

  

 

そして、格調高い新年の講話を伺った後は、個人面談&カフェタイム!
今回は、樋野先生の誕生日を記念して特別にケーキもお一人お一人にご用意させて頂きました。
対話の実践の場です!
テーブルには、苦痛にならないようにお茶が配られ、訓練を楽しみむひとときです。
近況報告と分かち合いのひと時でもあります。
その裏番では、樋野先生との個人面談の時がもたれました。
「カフェは個性を引き出し合う時間」「各テーブルでお互い一緒にあることが苦痛にならないように打ち解けて対話」・・・今回も新しいたくさんの発見がありました!
各テーブルの様子を聞いてみました・・・。

☆「夫の病気の話が出来て良かったです。」

 

☆「使命に気づき、ぶれずに気力も体力も持ち直して笑顔が戻ってきました。」

 

☆「病はなくなることはなくても、使命をもって生きていく大切さを教えて頂きました。」

 

☆「樋野先生の本を誰かにあげたい強い思いが共通していました。
 対話の中で共通項が次々と出てきて、楽しくお話しさせて頂きました。」

 

☆「先日、乳がんの手術を受けて、友達に勧められて参加しました。最初から最後まで参加できて良かったです。このような場が必要と思いました。『大丈夫よ、私も18年前に同じように手術したわ。でも、まだ生きてるからあなたも大丈夫よ』と同じ病気の先輩から励まされて希望を頂きました。」

 

☆「薬剤師の方と同じテーブルで、話が出来たのが良かったです。色々な職業の人たち、様々な経験をされている方と話が出来て勉強になりました。」  

 

☆「がんと闘い、人生の苦難について分かち合うことが出来ました。」

 

 

  

  

 

そして、後半の樋野先生の講話です。楽しい時はあっという間に終わりますね!
今日も格調高い講話をありがとうございました。

 

☆「訳が分からないのが良いね」
 →分かっているのは行かなくて良いからね。
 →行ってみて気が付くことがある。
 →『何のためにこんなところに行かなきゃいけないのか』と思う時に意外に良いものに出会う。

 

☆「八方ふさがりでも天は開いている」
 →人間は不条理の世界に生きているが、意思を超えて希望はある。

 

☆「本当の良いものはごみの中に輝く」

 

☆「樋野先生の故郷」
 →島根県。5年ほど前で57名の人口、60%の空き家の村。
 →小学校も中学校も廃校。
 →無医村 
 →高齢者はいたが、子ども時代から友達がいない。 

 

☆「人と一緒に住むときに良い人か悪い人かわかる」
 →ロビンソン・クルーソー 一人で住んでると良い人か悪い人かわからない。
 →30メートル後ろから夕涼みで出てきているおじいさんが樋野少年を見ていた。

 

☆「30メートル後ろからの見守り~見捨てない」
 →1メートル後ろはめんどくさい。何か言われる。
 →30メートルは、見えるけど言葉を話さない。これがいい。
 →『いつも自分を見てくれている人がいる』と育った人間は幸い。

 

☆「愛情豊かな老夫婦に育てられた子は大成する」
 →「桃太郎」や「一寸法師」など

 

☆「桃太郎の現在的意義」
 →犬猿の仲を一つの目標に向かって進めた。
 →ビジョンが明確ならばいやな人間もついてくる。
 →ビジョンが明確でないならまとめられない。

 

☆「多くの日本人は、冷たい親族に悩み、温かい他人を求めている」

 

☆「病理学者(樋野先生)」
 →がんの有無を調べ、死亡解剖。
 →人生を拡大主義(成長)で見てない。 
 →死体から人生を見ると人と比較しない。

 

☆「嫌な人間がいたら・・・」
 →下を見て、深刻な顔をしてお茶を飲むと30秒で去って行く。
 →言葉の付加と削除は禁物(アダムとエバ)

 

☆「本当の希望は、苦しみを通った者でないとわからない」
 →不条理に思うこともあるけど、どのように過ごしたかによって、品性が生まれる。
  品性が生まれると希望が生まれる。
 →「涙と共にパンを食べた者でないと人生の味はわからない」  by ゲーテ

 

☆アルプスの少女ハイジとゲーテの作品の共通点は、自己形成小説。
 ゲーテの小説をこよなく愛したのはヨハンナ・スピリ

 

☆「新渡戸稲造の授業は・・・」
 →新渡戸稲造の授業は半分の学生が「良いね」と言い、半分の学生は「訳が分からない」と言った。「良いね」と言った中に南原繁と矢内原忠雄がいる。
 →矢内原は「新渡戸先生は千人の前で講演しているのに、私一人のために講演してくれてる思いだった」と述べている。

 

☆「教育とはすべてのものを忘れた後に残るもの」

 

 

  

  

いかがでしたか?すごいですね!

皆さんはどの言葉の処方箋に励まされましたか?

最後に、明日の樋野先生の誕生日を前に皆さんで「ハッピーバースディ」を2度歌いました。プレゼントは、「絆」の文字と「桜」の刺繍が入った刺し子をお渡ししました。関東大震災の年に生まれ、その後、3度の地震を体験された方の作品です。彼は、戦争中にはシベリアで捕虜生活をし・・・東日本大震災でも被災され、昨年念願の「復興住宅(当時盛り土の段階)」に入ることなく、仮設住宅暮らしで93歳で天に逝かれた元漁師さんからの作品です。晩年ほとんど耳が聞こえなくなり、読書三昧の毎日でしたが、震災のことを伝えたい思いと、人とのかかわりを求め、また、震災復興の願いを込めて作られたものでした。最後まで病にも拘わらず、使命に生き、他者に喜びと感動を与えて生きて来られた方でした。樋野先生も喜んで下さり良かったです!

 

それにしても今回も非常に有意義な時を過ごさせて頂きました。置かれてる環境は、それぞれ違うけども、環境に飲み込まれることなく使命に生きていくことを教えて頂きました。皆様と、樋野先生の健康が守られ、ビジョンが世界に広がっていくように願いつつ、来月のカフェを楽しみにまた一月をお互いに過ごしていきましょう。

 

 

次回は4月12日(木)13:30~16:00です。皆様のお越しをお待ち申し上げます☆

また、6月の日程に変更がありますのでご注意ください!
変更後の日程は「6月4日(月)13時半~16時」です!
(当初は6月3日になっていましたが翌日に変更)

 

 

 

さて、2018年の年間予定が確定しました!来年も樋野先生が毎月来て下さることになりました! 
詳しい日程はこちらをご覧ください。

※個人面談は、毎回3人程可能ですが、事前申し込みが必要です。個人面談をご希望の方は、3日前までに yodobashi@church.email.ne.jp または03-3368-9165 で、中村和司/市川牧子担当教師宛でご連絡「○月メディカルカフェ面談予約」でお申し込みください。最近は、事前申し込みをしないと、当日では面談してもらえないことが多いのでご注意ください。

 

※個人面談が不要の場合は、登録の必要はございません。当日お気軽にお越しください。

※ご多忙の樋野先生のご都合などにより3週間ほど前までは日程変更もありえますので、このサイトや電話などで直前に今一度ご確認くださいませ。 

 

なお、「がん哲学外来 メディカルカフェ@よどばし」の第一回目から今回までの内容は こちら にアップされていますので、時折思い出しては何度も読み返してみられるのも良いかもしれません。先生の顔写真などの画質は相当小さくしていますが、雰囲気はお楽しみ頂けると思います。

 

  

 

さて、樋野先生の出版されている著書は実に沢山あるのですが、以下の本などは「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」でもお買い求めいただけます。本当に連日テレビや雑誌で樋野先生や「がん哲学外来」や「メディカル・カフェ」が取り上げられています。すごいです!

 

樋野先生の柔和な表情をご覧いただくだけでもほのぼのしますが、ことばの処方箋素晴らしいですね!よく効きます!無料!副作用ゼロです!年間の予定が出ていますので、是非、お気軽にいらしてください。途中の出入りもOKです!

 

様々なことで、どうしても参加が難しい方には、沢山ある書籍の中から特に以下のものをお勧めいたします☆
先生が、よく言われる言葉に「人生の3大邂逅」があります。その中の一つ、「よき読書」です!

 いい覚悟で生きるがん哲学外来から広がる言葉の処方箋  明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい

見上げれば、必ずどこかに青空が  がん哲学外来へようこそ (新潮新書)

あなたはそこにいるだけで価値ある存在   がん哲学外来で処方箋を カフェと出会った24人

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※著書「がんに効く心の処方箋 一問一答」は、実は、最近の隠れた「メディカル・カフェ@よどばし」でのベストセラーです。他の本も人気があるのですが、ここ数ヶ月は一番人気です(笑)。

 

 

そして、なんと「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」が中国語に翻訳されました!
韓国語版も販売されていますが、題名が「偉大なるお節介」となっていますのでご注意ください。

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とにかくすごいです!次から次に毎月のように著書が出ています!

 

どなた様も、お気軽におらしてください☆

がんの方も、がん患者の家族の方も、人間関係に疲れておられる方も、元気な方も、初めて方も、「将来のために」備えたい方も・・・どなた様も大歓迎です☆


※2018年の予定は こちら

※淀橋教会への行き方は こちら

 

 

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さて、この素晴らしい樋野先生の講話・・・実は日本各地、時には海外で連日のように講演をされています。
詳しくは 「一般社団法人 がん哲学外来」 をご覧ください。

現在94カ所ほどのメディカル・カフェが全国で行われていますが、全国に7千ヶ所必要と言われています。
医療の隙間を埋める場として、ますます必要が叫ばれているこの働きがさらに広がっていきますように!
世界の悩める人々のために豊かに用いられますように!