アガペーCGN第83次:10月15日(日)~18日(水)  岩手県大槌町

 6月にアガペーCGN第81次でサツマイモの苗4種類を(スケジュールがあいていた)早朝6時から地元の方々と植え、第82次の9月には「来月は、さつまいも芋掘りだね!来て下さいね!」と農園のリーダーたちから言われていたので、今回は「収穫」と「夕食会」と「各所訪問」が主なミッションとして隊員2名と現地チームで訪問致しました。

 

 2011年3月11日の震災以来ずっと関ってきている地元の方たちから、震災後1年程して「地元の皆さんとの良き交わりの場として、畑を作りたいけど、自分達だけでは難しいから、アガペーさんの若い力で是非助けてほしい」とお願され、青年、壮年たちが開墾から初めた「アガペー農園」。(後に他の2つの畑も与えられ、申請の際に別名登録されましたが、現地の畑チームの人々と私たちの間では「アガペー農園」と今でも呼んでいます)
 ちなみに、地元の皆さんは、以前は漁師さんだったり、レスキュー隊員だったり、造船のエンジニアだったり・・・農業経験者はゼロでのスタートでした。開墾するのも、畝をつくるのも、マルチをはるのも、玉ねぎを植えるのも、本格的な草刈りも、鹿よけためにネットをはるのも・・・何をするのも初めてで手探りです。
 私たちの「すごいですね!経験ゼロなのに何をつくってもほとんど成功ですね」の声に、笑顔で「種とか苗を植えれば、あとは恵みですよ。ほっといでも時期が来たら収穫できるまでに成長する。本を読んで、インターネットを調べて勉強しながらの畑作業だけどね」「何か夢のあることを皆でしたかったんだよ。まだ自分も体も動くし、淋しい思いをしている人たちも含めて一緒に働いたらお互いに慰められるし、しかも草とりのために毎週会えるし、収穫物はお世話になっている人が一人暮らしの人や必要のある人に無料で提供できる・・・歳も歳だしいつまで畑仕事が出来るかわからないけど、体が動くうちは感謝してやっていきたいよ」。リーダーの『心の復興の一つに畑は良いのでは?!』という予想がどうやら当たったようです☆
 雑草は時が経てば必ず伸びます。畑仕事で共に時を過ごし、汗を流し、収穫した野菜などをボランティアさんに御土産に渡したり、「子ども食堂」などに寄付したり、地元のイベントに無料提供・・・まさにボランティアです。孤立化が危惧(きぐ)される中、このように、声をかけあって共に喜び共に泣く家族のような仲間たち・・・毎回素敵だなあと思います。平日は仕事をしている人たちも多いので、土・日曜日の作業が多いようですが、今回は私たちのために平日に畑仕事を設定してくださいました。感謝!

 

10月15日(日) 小雨
 21時に池袋駅に集合し、夜行バスに乗り込みました。
バス停まで見送りに来て下さった方もおられ感謝でした☆

 

10月16日(月)  晴れ
 朝の7時半頃、大槌町のローソン前で下車。迎えに来て下さった地元チームの方たちに感謝し、まずは港へ。全国的に漁獲高が例年よりかなり落ちているとは言え、あまりにも鮭が少なくてびっくりしました。9時過ぎには、定置網の乗組員たちは網の準備をされていました。

 
   

 太陽が海に反射してあまりにもキレイだったのでひょっこりひょうたん島まで行ってみました。写真だとうまくとれなかったですが、本当にきれいな海でした。足元(海)を見ると、たくさんの雲丹(うに)!!!小さ目とは言え大量の魚!!!網を入れたら私でも次々と捕れそうでしたが・・・許可書を持っている人以外が雲丹を捕るのは「犯罪」で「逮捕される」と聞いていたので、指をくわえて我慢しました。後で、漁師さんに聞くと、「確かに、皆さん方が雲丹を捕ったら犯罪だね。今の時期の雲丹は美味しくないよ。やせていて、ほとんど身が入ってないし」とのことでした。

 

 

 

 

 その後、2軒訪問。再会を喜び合いました。前回まで、今年1月に家族を失った悲しみで以前のような笑顔を見ることはほとんどなったAさんは、今回はまだ悲しみが見え隠れする中にも「前を見て~上をみて~」の精神と笑顔を拝見することが許されました。先週から、「ぞうきん縫い」を始められたそうです。「このままだとだめだ。いつまでも下を向いていたらだめだ。下を見たら、高価なダイヤモンド(涙)がこぼれ出る。上を向くために、何かをしなければ。津波で全てを失ったように思えたけど、私たちは、皆様たちボランティアの方々からそれ以上の愛と友情と感謝の心を頂きました。そして、気づいたんです。『ない物、失ったものを数えるんじゃなしに、あるもの、与えられたものを感謝しよう』ってね!その時、私の目の前には(さびで糸を引き抜くときに布に引っかかるが)針があった。全国のボランティアさんから(今年天に凱旋されたご主人様が)頂いた糸がある。動く手がある。目が見える。時間がある。いつまでも若いと思っても、歳を重ねる日々ではあるけど、今あるものに感謝して、今の自分が誰かの幸せ、喜びのためになればそれで幸せです。~。」と思い、数年前に仮設のイベントで「刺し子教室」「ぞうきん縫い教室」で教えてもらったことを自分なりにアレンジしての作品作りを開始されたようです。何枚も作っているうちに、改善点に気づき、自分で工夫するようになり、一針一針感謝の心を込めて縫っていくようです。私たちの前でも実演してくださいました。また、「お茶っこ」をしている時に、広告で作られた手作りのごみ箱があり、その作成方法も実演してくださいました。また、東京にいる隊員数名との電話に大喜びでした。

 
   

 次に、スーパーでAさんのために針を購入しました。どの針もさびているので、何度も布にひっかかって縫いにくそうだったので。そして、他の地元の人たちと合流して昼食に行くと、また輪が広がり・・・狭いようで広く、広いようで狭い世界を感じました。昼食時に、一本の電話・・・。この後、予定にはなかったのですが、Bさん宅のタンスなどの家具の移動の手伝いを地元の人たちと6人で行うこととなりました。Bさんは、数か月前に仮設住宅から本設されたのですが「時間も体力もないし、とりあえず業者の方にバタバタと家具を入れてもらったけど、すごく生活しにくいので家具の位置を変えてほしい・・・自分達ではできない」というニーズへのお手伝いでした。6人で心合わせて2時間ほどで完了しました。

 

 その後、喫茶店Cでカフェタイム。まったり出来ました。お客さんやお店の人とも仲良くなれました。

 

 
   

 そして、地元の人との待ち合わせ場所に行くと偶然にも、「おおちゃんバス」に出会えました!しかも、D旅館の女将と大将にも、ばったり出会えお互いに「うわ~!」と歓喜の声。今回、時間がすごくタイトな中、どのタイミングで女将たちに会いに行けるか思案していただけに、感謝!感謝!束の間でしたが、お話できて、本当に感動しました。

 

 そして、「お母さん」が家にいるのを電話で確認してから、訪問。「ただいま!お母さん、お元気ですか?~。行ってきま~す」。束の間でしたが、超多忙の「お母さん」に出会えました!お母さんに「何かお手伝いできることないですか?」と尋ねると、「重機がないと無理だけど~○○さんたち(青年、壮年チーム)が泥出ししてくれた川が、この前の大雨で山が土砂崩れになり、そのために石だらけになってしまった・・・町が業者に頼んでくれたけど順番待ちでいつになるかな・・・」とのことでした。現場を見てきましたが、確かに川なのに水ではなく、石だらけ・・・。止まぬ2次災害・・・心を痛めて歩いていたら・・・なんと仮設店舗の移転で、ここ半年間会えなくなってしまった救助犬のユ〇ちゃんと、サ〇ちゃんのハウスを発見!今回は、再会できませんでしたが、次回はようやく再会できそうです!

 


   

 その後、まさに、アガペーCGNが一緒にゼロから開墾したアガペー農園で農園のリーダーたちと収穫。里芋、さつまいも、ヤーコン、栗・・・などをまさに恵みの大地です。

  

 

 
    

 

 そして、17時半過ぎに買い出しに行く際に、2軒訪問。Eさん(あめっこおじさん)の建設中の新居を訪問するとなんとEさんに出会えました!お互いに「私達、離れてても心が結ばれてる証拠ですね。このタイミングで会えるなんてすごいね!・・」と大笑いしました。普段はEさんが仕事でゆっくり話すことができなかったのですが、この時は、色々と語ってくださいました。

 

 夕食は、収穫したばかりの「自然の恵み」をお腹いっぱい頂きました。地元の方も一緒にわきあいあいとさらなる親睦の時となりました☆「サンマ」「大槌湾のお造り」「ヤーコンとさつまいも入りサラダ」「大根おろし」「つま」「里芋のおすまし」「デザート」。食後の毎回お楽しみの‟出し物”の「朗読」「チェロの演奏」も好評。子どもたちは21時までに寝ましたが、大人は夜遅くまで復興に向けての話などで盛り上がりました。

 

 

23時半頃就寝。

 

 

10月17日(火)  晴れ
 定置網が5時過ぎに港に戻ってくるというので、水揚げを見るために5時起床、5時10分出発。港で待つこと15分、2台の定置網漁船が帰ってきました。

 

 

やはり、例年に比べて鮭が少なすぎると思いました。サンマ、ワカシ、イナダ、ワラサ、サバ、ソッコ(ブリの子)、烏賊(いか)、ヒラメ等が獲れていました。

 

 その後、昨日訪問しても会えなかったFさんに会いに海に行くと会えました!昨日は、体調不良で病院に行っていたとのこと。今日の午前中にもう一度来ることを約束して宿に戻り、朝食&掃除。

 

 そして、Gさんを訪問しました。隊員が電話で東京の人たちにつなぐと、数名と会話を楽しんでおられました。久しぶりにゆっくり話できましたが、仕事の邪魔をしたので、喜んでお手伝いさせて頂きました。新しい店舗を本設されての営業です。

 

 その後、H幼稚園を訪問。子どもたちも先生たちもすごく喜んでくれました。「あっ、おれ、しってる!」
「わたしも、しってる!」「うわ~、あそぼ~」・・・。少しの間でしたが、職員さんたちも「いつから来られ
てるんですか?・・・。」歓迎して下さいました。

 

 次に、町の中心部を見渡せるいつもの高台に上り、祈りと黙想のひととき時。毎回、この高台に上っていますが、確かに目に見える復興は進んでいます。しかし、それすらもまだまだ時間がかかります・・・。JRもただいま線路をつくる為の道路整備・・・再開はまだまだです・・・。高台から見える建物は、ほとんど仮設店舗・・・。また、町には2つの大きな川が山と海をつないで流れていますが・・・大雨による土砂が川幅の多くの面積を占め・・・重機で除去して除去しても毎回砂利や大木がある状態のようです・・・。

 
 

 

 そして、Fさんたちに会うために海に行く途中に一軒訪問。そして、旧役場を通りがかると・・・「解体」と「保存」で意見が分かれていたのですが・・・側面は今まで以上にかなりもろくなってきており・・・。

 

 Fさんは海に出ており、帰ってくるのに1時間以上待ちましたが、その間、ばあやたちと素敵な時をもつことができました。震災後、何とかしなければと頑張り続けてこられた人々・・・身体の芯からの癒しが与えられますように!          

 

 
 次に、現地チームと合流して昼食。デザートは、先ほど、初めて発見して購入した大槌のお土産にもなりそうなお菓子。初めて食べてみましたが、焼きドーナツがすごく美味しかったです。

 

 地元の野菜をたっぷり使った昼食でエネルギーを補給した後は、畑へ。まずは「アガペーCGN第82次でベコ(牛)の肥やしを蒔いた良い地」に植えられた「玉ねぎの肥料蒔き」作業でした。皆初めての経験でした。その後は、鹿などの「動物よけの柵作り(杭打ち・・・ロープまき)」&「耕運機で土おこし」&「大根の草取り」&「収穫」を地元の方々と一緒にさせて頂きました。ちなみに、近くには動物の足跡が沢山ありました。ここの野菜を収穫し今月22日の町のフリーマーケットに出店するそうです。
太陽の陽に当たっている時には半そででも充分なぐらい暑いのに、日陰になると寒いこと、寒いこと!重ね着の重要さを身に染みた一日でした。季節はいつであろうと、早朝、真夜中、日暮れにも活動される方には、日中がいかに暑くても防寒具は必要です。

 

 

 

 

 


 
  

 日が暮れてきたのですが、第81次で植えたサツマイモの収穫をしたくて(本来、それがメインの目的だったので)お願いすると「ご存知のように、あの畑は水の便がない(水道がない。川まで800m、しかも、500mほどの丘の上の畑)し、家から片道30分かかるから、往復だけでも1時間・・・なかなかいけないので、実は草とりもろくにできずそのままだった・・・他の畑の作業もあるし・・・『ちゃっこい(小さい)』のしかないから行く必要ないよ・・・見なくても良い・・・。サツマイモは簡単だと聞いた。肥料もいらないし、作りやすいと聞いたが、すごく難しい・・・。何年かやってきたけど、一度も成功しない・・・」とのこと。それでも、やはり見たくてお願いすると、その時いた場所から車で10分、目的の畑に到着。目に見える雑草たち・・・。植えた時の苗よりもみすぼらしい葉っぱたち・・・。「雑草、今は枯れてこの程度だけど、ひどい時には胸ぐらいまで雑草が生えていた。何度かは草取りをしたけど・・・。7月はカンカン照りが続き、8月は長雨・・・本当に、自然の雨だけが『水やり』だった」と説明を聞き、納得。呆然と見ている数名もおられましたが、隊員達は、「ちゃっこくても芋がいる(ある)はず!救出!」とあちこちを掘り出しました!すると、見たことないような小さな芋たちが・・・ぽつりぽつりと発見!小さな小さな、びっくりするほどの小さなサツマイモなのに今までの芋掘りで一番感動しました!(しかも、後でゆでて食べたら大きな普通のサツマイモと同じく甘いです!味は同じです!)。大人の小指ぐらいの太さ、長さは8cmぐらいのサツマイモがほとんどでした。大きくても、直径5cm、長さ10cmほどでした。・・・・。本件で、本がかけそうなぐらい多くのことを各人が学びました!!!
※せっかくなので、第81次の時のサツマイモを植えた時の写真も掲載いたします。


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第83次 夕方16時半頃          

 

 

 

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第81次 早朝6時~90分かけて苗植え

 

「救出活動」は30分程で区切りをつけ、同じ農園で、なすと唐辛子と柿も収穫もしました。

 

 

「諸活動チーム」と「作業道具の片づけチーム」に分かれ分業。宿に戻ると、皆で心合わせて一気に夕食作り!あっという間に美味しい夕食が備えられました!「ビックリするほどちゃっこい(小さい)」けどサツマイモも美味しかったです!焼きサンマも、鮎(あゆ)の甘露煮も、柿もすごく美味しかったです!近所の方がお土産を持ってきてくださいました☆
 

 

 

 

 

 夕食後は、Aさんにプレゼントの針を届けに行くと、喜びのあまり、泣きそうな顔をされていました。そして、釜石から夜行バスに乗り込みました。見送りに来てくれた4名の仲間達にも感謝!

 
   

 

10月18日(水) 晴れ
朝の5時半頃、池袋到着。

泥だらけの芋などを水洗いし、乾かして、少しずつおすそ分け。完全無農薬です。大地の自然の恵み。
ちなみに、左上から、サツマイモ、大根、ヤーコン、赤大根、里芋。下の段は、柿、赤大根の葉っぱ、なす、
白大根のはっぱです。

 

 全てに本当に感謝でした。現地実質2日間とは思えないほどの充実度でした。東京は大雨で12月末の気候だというのに、晴天続きで天気にも恵まれ、実にタイミング良く会うべき人たちに会えて感謝でした!今回会えなかった人たちも沢山いますが、 続く第84次に愛のバトンを託します!皆様のお祈りを感謝致します!