第68回「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」

お天気には恵まれましたが、新型コロナウイルスの不安と驚異の中・・・。
開催すべきかどうか、スタッフ一同真剣に考えました。
でも、「空っぽの器を用意しよう!」と、第68回「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」を開催することにしました!
当日、開始時間が近づくといつも以上に緊張しました。
入り口には、マスクと手の消毒などを用意しました。
『誰か一人のため』にでもなれば、カフェを開く意味があると思って継続してきましたが、今回はスタッフ一人ひとりにとって格別の思いで用意したカフェだけあって一生の思い出になった気がします。
予想を遥かに超えて、初めての参加者7名を含め30名程の方が遠くから近くから参加されました。今までで一番少ない参加者でしたが、こんなに「人生の方から期待されている」と自覚したことのないカフェでした。

一方で、いつもに増して、参加することができない方が多数おられましたので、今回もカフェの様子をダイジェストでまとめてみました。

 

司会者より「一人ひとりが守られ、これ以上コロナウィルスの蔓延が広がることがないように・・・。ウィルスは一時的でも、人生の恐れや不安の中でどうしてよいかわからない時・・・でも、365日全てが苦しい日々であることはない・・・。新しい視点を樋野先生から教えていただき、人生を見ていくことができるように・・・。」と初めのあいさつがありました。

 

そして、テーマソングの「365日の紙飛行機」を皆さんと大熱唱。

 

 

続きまして樋野先生の前半の講話です。

今回は、事前に頂いていました参加者からの質問に答える形で進められました。

非常に格調高かったです。

 

 

 

☆「新型コロナウィルスについて」
 ⇒「あいまなことは曖昧に答えるのが科学的である。」
   「分かりません」
 ⇒同じ医者でも違う意見・・・
  専門家によって言うことが違う・・・
 ⇒人々は「どちらが正しいか」迷う。
 ⇒セカンドオピニオンショッピングをやっている人が多い。
   あいまいなことを結論じみた答えをするから。
 ⇒グレーゾーンを確信をもって答えるには愛しかない。
 ⇒一般論では無理。
  個別的に対話した時に、どう感じるか。
  ネットで情報を見ても心落ち着かない。
  70%のレベルの情報。


☆「本当に自分が悩んでいる時には、顔と顔を合わせて話をすると良い」
 ⇒内村鑑三
 ⇒東大総長の矢内原忠雄が人生で悩んだ時に、内村鑑三に相談に行くと、内村は「私も分かりません」と言った。しかし、矢内原はその時の内村の態度を見て「あの内村鑑三先生でもわからない」と言って、矢内原の悩みが解消した。
 ⇒「何を言ったかではなく、誰が言ったか」

 

☆「過度な自粛ムード」
 ⇒どちらの道に行くかは「自由意思」 二つの道
 ⇒「要請」「奨励」はしているが、「命令」はしていない。
 ⇒「要請」を「命令」と受け取ることの多い日本人

 

☆「病理学」
 ⇒顕微鏡で病理診断したり、亡くなった方の病理解剖をしたりする。
 ⇒昔は素手で解剖していたので結核などになった人も沢山いた。

 

☆「重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した時に世界で医学会」
 ⇒日本の医者はほとんどキャンセルしたが、樋野先生と菅野晴夫先生(癌研時代所長、樋野先生の恩師)は行った。
 ⇒「思い出」
 ⇒「一度決めたことはやる」 主催者側はキャンセルしていない

 

☆「流れる水は腐らない」 「気が弱ければ事は成らぬ」
 ⇒溜(た)まると濁(にご)る
 ⇒新渡戸稲造の言葉
 ⇒何かをする時に不安になったり、心配したりするとダメ。

 

☆「一番困っている人を優先する」=「偉大なお節介」
 ⇒「自分のやりたいことをする」=「余計なお節介」
 ⇒相手の気持ちに共感し、自分の気持ちで接しない
 ⇒自分の命が最も大切だと思い、自分のことを優先して判断する人が多い。

 

☆「自分のことには無頓着(むとんちゃく)になると良い」
 ⇒「ほっとけ」「気にするな」
 ⇒病気、がん、感染症・・・理由は様々だが「人はみな死ぬ」
 ⇒自分のことを気にしていると一日中気になる。
 ⇒自分でコントロールできないことに一喜一憂すると疲れる。

 

☆「病気であっても病人でない社会をつくるべき」
 ⇒病気は仕方ない。
 ⇒雨は誰にでも降るけど、傘をさすか、レインコートを着るか、軒に入るか、家の中に入るか・・・何もしないか、は「自由意思」。

 

 

☆「樋野動物園の現代的意義は?」
 ⇒現在約45名いる
 ⇒ゴリラ、パンダ、インコ・・・
 ⇒地球上に動物の数は・・・生物は・・・
 ⇒樋野動物園は、個性と多様性のためにつくった(笑)
 ⇒人を非難したり、評価したりしてはならない。
 ⇒存在自体に意味がある
 ⇒3月14日15日万座温泉で「樋野動物園開設1周年記念講演会」実施
 ⇒冗談ぽいことを本気でやる人物になる

 

☆「本当の使命~個性と多様性」
 ⇒みんなが「良いね」ということは任せればよい。
  人に譲るだけ譲る。自分がしなくても良いことは沢山ある。
  暇(日間)になると、太陽の光が差し込み、尊厳に触れ、使命や役割が与えられる。 
 ⇒みんながやらないことをやるのが大切。
 ⇒人と比較・競争しない。
  その人にしかできない個性と役割が与えられている。

 

 

☆「新型コロナウィルスが広がりつつある今、カフェをどうすればよいか?」
 ⇒イベントはやる。
  しかし、来てもらう必要はない。
  「空っぽの集会」をする。
 ⇒「空っぽの器」
 ⇒「誰も来なくても良い。一度決めたことはやる」=「胆力」
 ⇒やり方は考える。テレビで映すとか工夫すれば良い。
 ⇒「明日 地球が滅びるとも 私はこの花に水をやる」

 

☆「人類は感染症で死なない時代は来る」
 ⇒しかし、感染症は防げない。
 ⇒がんも同じ。
  「生きることが、がん化への道」
 ⇒予防をしても病気にはなる。
  しかし、その病気で死なない時代が来る。
  人類の進むべき方向
 ⇒天寿を全うして死ぬ
 ⇒生きて120年
 ⇒命はプレゼント。何で死ぬかは自分でコントロールできない。

 

☆「自分でコントロールできないことに一喜一憂しない」
 ⇒自分でコントロールできることには全力を尽くす。
  そうでないことは「ほっとけ」。

 

☆「色んな心配や不安がある中、心の軸をどのように保つか?」
 ⇒本当に大切なものは少ない
 ⇒「自己放棄」
 ⇒自分の人生はプレゼント。自分の所有物と思わないことが秘訣。
  無頓着に
 ⇒「元気な時の自分が最高だとは思わないこと」が大切。
 ⇒病気になっても自分も周りの人たちも成長する。

 

☆「ほっとけ、気にするな」
 ⇒自分のことで悩まなくなる。
  暇になるとわきが甘くなり、つけ入るスキが出てくる。
  懐(ふところ)の深さを示して感動を与える。
 ⇒脇を締め過ぎている人は人が寄って来ない。
 ⇒歴史上の偉大な人物から学ぶ。皆から褒められてる人物はいない。
   賛成する人と、反対する人の両者がいる人が本物。
 ⇒わきが甘いから、心の基軸がぶれない。
 ⇒人からの評価でぶれない。一喜一憂しない。
 ⇒去っていく人は「どうぞ」、来る人は受け入れる。

 

☆「アダムとイブの現在的意義を述べよ」
 ⇒なぜ人間にがんが起こるのか?
  アダムとイブから学べ

 

☆「『魔』の感じの意味を述べよ」
 ⇒「エデンの園」から学ぶ

 

☆「人生邂逅の三大法則~良き先生、良き友、良き読書」
 ⇒何かあった時に対応できるように日々訓練しておく。
 ⇒「Why(なぜ)」は問えない。
  「How(いかに対応するか)」は自由意思。

 

 

その後、個人面談(4人)&テーブルトークタイムでした。感想を聞いてみました。

 

☆「初めて来ましたが『気にするな、ほっとけ』で良いんですね☆」

 

☆「お顔は拝見していましたが、初めてテーブルになった人たちとお話できてすごく良かったです」

 

☆「コロナウィルスの心配もありましたが、がん患者として、使命感でやってきました。『たとえ明日地球が滅びるとしても私はこの花に水を与えます』」

 

☆「カフェを中止にしないで開催してくださり感謝します!」

 

☆「家族に心配されましたが、今日樋野先生のお話を直接聞けて本当に良かったです」

 

☆「樋野先生と面談が出来れすごくうれしかたです!」

 

 


後半の講話も参加者からの質問に答える形でおこなわれました。

 

☆「自分では、偉大な「おせっかい」と思ってやった事が、相手には迷惑を与えてしまい、心からあやまっても 許してもらえない時、どうすれば 良いのでしょうか ?」
 ⇒「ほっとけ、気にするな」
 ⇒時が至れば、分かる。急に解決を求めても難しいことが多い。
 ⇒「夢は追いかけると去っていく。持ち続けると向こうから近づいてくる」
 ⇒ちゃんとやってると向こうから近づいてくる。「待つ」
 ⇒「自分で解決」しようとすると疲れて嫌になる。

 

☆「人生に期待される生き方を するために具体的にまず 何から始めればいいですか?」

 

☆「カフェや、教会まで 行くことの出来ない患者たちは、どうすればいいでしょう」

 

☆「サザエさん~思い出の人、矢内原忠雄」
 ⇒長谷川町子全集32 
 ⇒サザエさんとお母さんで矢内原の講演に行く。
  人が沢山いる時にアクビしている人物に・・・「出ていけ」
 ⇒矢内原は威厳があって、一見怖そうだが、接すると優しい人。

 

 

☆「良い本を選ぶコツ!(新渡戸稲造先生、内村鑑三先生は 難し過ぎるので)」
 ⇒「出会い」
 ⇒自分が尊敬する人が「良いね」という本を読むのが一番簡単。
 ⇒自分で本を探しに行くと大変。
  夜を徹して読める本は、そんなに多くない。 
 ⇒樋野先生の本は簡単だからお勧めです!
  そのうち、新渡戸先生や内村先生の本も自然に読めるようになる。
 ⇒玄関の入口の本と、中二階の本と両方の本があると良い。
  玄関だけの本なら深みがない。人間には両方が必要。

 

 

☆「AERAに樋野先生の特集」
 ⇒6ページ分

 

 

☆「人生思い出づくり」
 ⇒新型コロナウィルスが流行っている時に、「にもかかわらず」出た。
 ⇒人生は「にもかかわらずやった時」の思いでは一生残る。
 ⇒20年30年後にも覚えているような思い出。
 ⇒「何かがあった時にどう対応するか」
 ⇒「無頓着なほどに大胆」

 

☆「正論より配慮」
 ⇒相手が間違えていても「認める」
 ⇒配慮は相手のことを中心に考えること

 

☆「どうして正常細胞ががん化するのか?」
 ⇒樋野先生の著書より
 ⇒このようなことを学ぶと、自分のことが少し客観的になる。
  自分のことを客観的に見れると、悩みも少し解消する。
 ⇒「空の上から道路を走る車を見る」視点になる。客観的。
  運転席から見てると分からない。

 

☆「森を見て、木の皮まで見る人物になる」訓練が必要
  自分のことしか考えてなかったのが客観的に見れるようになる。

 

☆「三歳で『大きくなったら医者になる』と母の背中で決意」
 ⇒無医村で生まれた。40名の人口、60%の空き家。

 

☆「カラオケ」
 ⇒思い出づくり

 

☆「もしかしたらこの時のため」

 

☆「最後まで残る経験」

 

☆「やると決めたらやる」
 ⇒人として高尚
 ⇒「胆力」=「最後に責任をとるのは私です」
 ⇒人のせいにしない。
 ⇒人と相談して物事を決めると責任問題になると逃げる人が多い

 

☆「尊敬する人物が尊敬する人に深入りできる」
 ⇒樋野先生は、新渡戸稲造、内村鑑三に直接は出会ってない。

 

☆「言葉の処方箋」
 ⇒脳の引き出しに入れていて感動した言葉を患者に話す。
 ⇒自分で考えた言葉ではない。

 

☆「人間の性(さが)」
⇒ロビンソン・クルーソーのように孤島に住んでいたのでは、良い人か悪い人かわからない。人間社会の中に住ませて初めてその性(さが)が明らかになる。

 

☆「本物はゴミの中に輝く~イエス・キリスト」
 ⇒自分で探しに行く。
 ⇒立派な所ではなく、人から軽蔑されていた「羊飼い」たちに良き訪れが一番に届いた。

 

☆「赤鼻のトナカイ」
 ⇒役割を見いだされて、心から喜んだ。
 ⇒本当の喜びがあるかどうか?
 ⇒70%の喜びはたいしたことない。
 ⇒心から100%の喜び。
 ⇒小さなことに、大きな愛をこめて、無邪気に、喜んだ「アルプスの少女ハイジ」

 


今回、教えていただことを胸に抱いて日々の歩みに生かしていきましょう☆

 

正論で言うならば、今回のカフェを「自粛」すべきだったかもしれませんが、「相手の必要」を中心に考えながら、来月も予定通り行われます。「言葉の処方箋」は、効果満点です!

 

次回は3月12日(木)13:30~16:00です☆

 

もちろん、樋野先生の言葉の処方箋も沢山処方して頂けます☆
是非ご家族。ご友人をお誘い下さい。
初めて参加されるご近所の方や他府県からの方も毎回複数組おられます。
是非、お気軽にいらしてください☆

2020年の今後の詳しい日程はこちらをご覧ください。

 

 

※個人面談は、毎回3人程可能ですが、事前申し込みが必要です。個人面談をご希望の方は、3日前までに yodobashi@church.email.ne.jp または03-3368-9165 で、中村和司/市川牧子担当教師宛でご連絡「○月メディカルカフェ面談予約」でお申し込みください。最近は、事前申し込みをしないと、当日では面談してもらえないことが多いのでご注意ください。

※個人面談が不要の場合は、登録の必要はございません。当日お気軽にお越しください。

※ご多忙の樋野先生のご都合などにより3週間ほど前までは日程変更もありえますので、このサイトや電話などで直前に今一度ご確認くださいませ。

なお、「がん哲学外来 メディカルカフェ@よどばし」の第一回目から今回までの内容は こちら にアップされていますので、時折思い出しては何度も読み返してみられるのも良いかもしれません。先生の顔写真などの画質は相当小さくしていますが、雰囲気はお楽しみ頂けると思います。

 

 

さて、樋野先生の出版されている著書は実に沢山あるのですが、以下の本などは「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」でもお買い求めいただけます。本当に連日テレビや雑誌で樋野先生や「がん哲学外来」や「メディカル・カフェ」が取り上げられています。すごいです!

樋野先生の柔和な表情をご覧いただくだけでもほのぼのしますが、ことばの処方箋素晴らしいですね!よく効きます!無料!副作用ゼロです!年間の予定が出ていますので、是非、お気軽にいらしてください。途中の出入りもOKです!

様々なことで、どうしても参加が難しい方には、沢山ある書籍の中から特に以下のものをお勧めいたします☆
先生が、よく言われる言葉に「人生の3大邂逅」があります。その中の一つ、「よき読書」です!

 いい覚悟で生きるがん哲学外来から広がる言葉の処方箋  明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい

見上げれば、必ずどこかに青空が  がん哲学外来へようこそ (新潮新書)

あなたはそこにいるだけで価値ある存在   がん哲学外来で処方箋を カフェと出会った24人

こころにみことばの処方箋 世界に広がる「がん哲学」     

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「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」などが中国語に翻訳されています。
韓国語版も販売されていますが、題名が「偉大なるお節介」となっていますのでご注意ください。

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とにかくすごいです!次から次に毎月のように著書が出ています!

どなた様も、お気軽におらしてください☆

がんの方も、がん患者の家族の方も、人間関係に疲れておられる方も、元気な方も、初めて方も、「将来のために」備えたい方も・・・どなた様も大歓迎です☆

 

※2020年の予定は こちら

※淀橋教会への行き方は こちら

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さて、この素晴らしい樋野先生の講話・・・実は日本各地、時には海外で連日のように講演をされています。
詳しくは 「一般社団法人 がん哲学外来」 をご覧ください。

現在約150カ所ほどのメディカル・カフェが全国で行われていますが、全国に7千ヶ所必要と言われています。
医療の隙間を埋める場として、ますます必要が叫ばれているこの働きがさらに広がっていきますように!
世界の悩める人々のために豊かに用いられますように!