第36回「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」
6月。前日の夜は大雨と雷・・・カフェ当日は、風が強かったのに、蒸し暑かったです。
『この不順な天候の中、果たして今回はどなたか来て下さるんだろう?』と、少々心配になりましたが、とにかく『なすべきことを充実にさせていただきましょう~空っぽの器を用意しよう』と気持ちを切り替え、スタッフ達は朝から会場設営や、お菓子や美味しいコーヒーの準備。スタッフ達は、すごく楽しみに待ってきた「カフェ」を今日も迎えることができることを感謝し、喜びに満たされて楽しみに台所で色々と準備されていました。
13時半~カフェは始まりますが、早い方は12時前からお待ちになってくださいました☆すごいですね!
私たちの心配をかるかに超えて、今回も初めての方たち5名程を含め、皆様それぞれに有意義な時をお過ごしになられたようです。今回も男性の参加者も多く感謝でした。
本日も、樋野先生の愛唱歌の一つ「365日の紙飛行機」の歌詞をかみしめて一同で大熱唱!生きていたら色んな事がありますが、『飛んでいけ~♪ 飛んでいこう~♪』と思えるひと時となるよう願いつつスタート!樋野先生もしっかりと口を開けて楽しく熱唱されていました☆
では、さっそく前半の格調高い講話をお分かち致します。
☆「講演内容は忘れるが、音楽は残る」
→音楽は「空っぽの器」の中に残るもの
→来たことは忘れても、歌ったことは覚えている
☆「出会いがあって出てくる『必然性』~がん哲学外来」
→樋野先生の恩師(菅野晴夫先生)のさらに恩師は吉田富三先生。
→吉田富三は、がん研の所長で、東大の病理の教授だった。
→樋野先生は恩師と2人で2003年に「吉田富三生誕100年」を開いた。
→世の中には偉い人は沢山いるが、その人が死んだときに、
「追悼記念会」とか「生誕100年」とかする人があまりいない。
☆「樋野先生が恩師から学んだこと」
→『広々とした病理学』
→どんな学問でも限りがないということを知っておく。
→新しい事にも、自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力する精神。
→世界の動向を見つめつつ、歴史を通して今を見ていく必要性
→俯瞰的(ふかんてき)に病気のことを理解して、理念をもって現実に向かい、
現実の中に理念を問う人材を育成せよ。人材が少ない
→「複眼の思考」を持つ。
視野狭窄(しやきょうさく)にならず、教養を深め、
時代を読む「具眼(ぐがん)の士」の種まき
※「具眼」=「物事の本質を見抜き、是非・真偽などを判断する
見識をもっていること」
☆「種まき」
→自分は種。どこかに行ったときに自分を蒔く。
☆求められる人物像
→幅が広く(狭いとダメ)、弾力性に富み(堅いとダメ)、
洞察(どうさつ)と見識(けんしき)のひらめきが必要。
思索的な雰囲気。かろやかに、楽しむ。
自分のやってることに自信があって、世のはやりすたりに一喜一憂しないタイプ。
→自らの強みを基盤とする(役割と使命がどんな人にも与えられている)。
→新しい事にも、自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力する精神。
→段階ごとに我慢強く丁寧に仕上げていく、最後に立派に完成する人物。
→日本の持つパワーを充分に発揮して大きな仕事をする人物
→「自分のオリジナルで流行をつくれ」=がん哲学外来 人のまねではなく
その後、「テーブルごとの分かち合い」&「樋野先生との個人面談」の時となりました。
初めは皆さん知らない者どおしで、お互いに様子を伺いつつ・・・といった感じでしたが、病気の話や、家族の話、出身地などで、共通点が見つかると一気に打ち解け、普段は他の人と話せないようなことも自由にワイワイ、わきあいあいと話しておられました。各テーブルでどんな話をなされたのか発表の時・・・。まさか『末期の方がこんなにもおられたんだ。。。あんなに楽しくお元気そうにユーモアにお話されて、人の話にも優しい目で耳を傾けて下さっていたのに。。。』とビックリしました。
テーブルごとにどんな分かち合いがなされたのか、差し障りのない範囲で発表して頂きました。
☆「樋野先生のおっしゃる『ユーモア』の学びをもっと深めたい」
☆「動物は笑うか?動物のユーモア?」
☆「良い意味でショッキングな忘れられない場になりました!」
☆「大きな病がある中、非常に活気のある方たちと同席でした。病状にも関わらず、あまりのご活躍にびっくりでした。」
☆「抗ガン治療中に、自分よりももっと症状の重い末期の人がおられ、そのことが自分にとってすごくつらかったです。」
☆「会社にがんであることを言えず、すぐに治療できなず、動けなくなって初めて手術に至りました・・・。」
☆「女一人で生きて行く上で、がんであることを会社に言えない現実をどうしていったらいいのか教えてほしいです」
☆「先生の話に惚(ほ)れました(男性)。先生の言葉は優しくユーモアにで、心に響くんです。」
☆「この4か月の間に3回来ました。これからも来たいです」
☆「親が、がんで天に逝ったのですが、家族としてこれで良かったんだろうか知りたくて参加しました。」
☆「がんを告知された時の受け止め方は、それぞれ違うけど、このような話し合う場があることがありがたいです。」
そして、格調高い樋野先生の講話、後半。ポイントだけですがお分かちさせて頂きます。
☆「グレーゾーンを『わかりません』と確信をもって語るには愛しかない」
→難しい問題は人によって答えが違う。
→「わかりません」の答え方。
→福島県で2009年から毎月がん哲学外来に行ってるが、
2011年の震災の時は、相談内容が違った。
自分の「がん」のことより、原発の近くの家の息子たちの今後の相談。
→自分を思ってくれてることが分かると、何も解決しなくても解消はする。
→問題は残っていても、悩みを問わなくなる。
悩みの優先順位が下がる=毎日悩んでいたのが解消。ほっとけ。
☆「自分が愛されたようにしか人を愛せない」
「学習したようにしか行動できない」
→人から学ぶことが重要
☆「犬は、自分の寿命を知ってる。『死』を感じてる」
☆「人間にしかないのは人格的な生命」
→誰かに愛されている実感、信頼される人格的な交わりがあるか?
→1日1時間部屋に閉じこもって真剣に考える
→人生の方から扉が開く。
人生に期待ではなく、人生から期待されている存在だけで大切
→存在自体に価値がある。
→ほっとけ。気にするな。思い煩うな。
☆「がん就労支援~解雇・退職しないような制度」
→がんと診断された人の約30%は辞めている(自主退職と、やめさせられた人含む)
→社会も変わらないといけないけど、がん患者も変わらないといけない。
☆「人生は与えられたものだから粗末にしない」
→このカフェでどのように心を開くのか、訓練。
→職場に帰った時に人にどう接することができるのか?
☆「『最後まで見捨てない』という人が目の前にいるかどうか」
→どんな人が非難しようが、「あなたのことを思っている」という人がいるか?
→30m後ろから自分を見ている人がいるかどうか?
→自分が人のためにやると、自分が犠牲になっても心が豊かになる
☆「がん患者会はこの10年で7倍に増えたが、がん患者会に入る人は一向に増えてない」
→「あなたはこうしなさい」
→余計なお節介はあるが、偉大なお節介がないことが多い
→自分の気持ちで接せずに相手の気持ちで接する
☆「がん哲学外来は2008年~」
2005年 8月アスベスト中皮腫外来
難病に何が必要か考えた時にがん哲学外来
先生の夢は何ですか?「がん哲学外来を開設することです」
2007年 がん対策基本法 がん拠点病院にがん相談室をもつように定められている。
当時は、がん相談室に誰も来なかった・・・。
2008年1月 カフェ開始。
5回するのに3カ月かかった。80組のキャンセル待ち。
がん相談室との違いを考えた・・・不思議。
☆「人のために自分の時間を犠牲にするのが高尚な生き方」
→自分のためにだけやるのはダメ。
☆「医療維新来たらず」
→社会を変えないといけないが、本人も変わらないといけない。
→今は医療の公武合体。
→馬の上から花を見ている。
→医療維新=すべての患者の必要に答える
☆「勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬が必要」
→自分で勝海舟になる「私は勝海舟の気持ちで頑張ります」
→冗談ぽいことを本気で言う
☆「無邪気に、小さなことを喜んでやる人物に良き訪れが来る」
→ゴミの中に本物の良いものは輝く。
☆「生きがい。人生の方から扉が開いている。」
→一生懸命に生きていたら、自分の思いを超えた良いものが与えられる。
全力を尽くしていると、また新しい良き出会いがある。この連続
☆なぜ、悩み苦しみが一向になくならないのか?
→「にもかかわらず」「もしかするとこの時のため」
☆「がん教育」
☆「病気も単なる個性」
「病気であっても病人でない」人間になるにはどうしたらよいか?
☆「天国でカフェを開く」
明日死んでも良いと思える
自分の人生に無頓着になったから悲壮感がなくなった
☆「命が一番だと思わない方が良い」
今回で36回目、来月で満3年記念です。本当に、この3年間、欠かさずに、ご多忙の樋野先生から直接「言葉の処方箋」を頂けるのは破格の恵みです。「先生の含蓄のある言葉や先人たちの言葉に耳を傾けつつ、いかに現実を受け止め、肯定的に生きていくのか」、「比較でなく、自分らしい生き方」「他人の必要に共感して空(から)の器として生かされていく」・・・他では味わえないようなことを体験できたことを感謝します。
命が一番大切という視点から、人生から期待される視点に変えられる・・・。価値観が根こそぎ変わっていくのを感じます。ゆったりとのびやかに自分らしく生きて行く大切さを教えて頂いてるような気がします。与えられた命の素晴らしさと、命を超えた素晴らしいものが与えられることを覚えて、歩めることを感謝します。
来月は満3年の記念を迎えます。スペシャルな時をご用意しております!
なお、7月のみ面談はありませんので、面談希望の方は8月にお願いします。
参加したくてもどうしても参加することのできなかった人々のために、病の中で苦しんでおられる人たちのために癒しと回復をお祈り申し上げます!
次回は7月2日(日)13:30~16:00です。皆様のお越しをお待ち申し上げます☆
2017年12月までの予定も確定していますのでこちらをご覧ください。
特に、7月2日(日)13:30~「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」3周年記念で樋野先生との「特別対談(1時間)」を企画しております!必聴、必見です☆スペシャル演奏(バイオリンとピアノの二重奏)もございます。後半には、樋野先生の講話も30分ありますのでお見逃しなく!
※個人面談は、7月以外は3人程可能ですが、事前申し込みが必要です。個人面談をご希望の方は、3日前までに yodobashi@church.email.ne.jp または03-3368-9165 で、中村和司/市川牧子担当教師宛でご連絡「○月メディカルカフェ面談予約」でお申し込みください。最近は、事前申し込みをしないと、当日では面談してもらえないことが多いのでご注意ください。ただし、7月は特別対談のために個人面談を実施できませんのでご了承下さい。
※個人面談が不要の場合は、登録の必要はございません。当日お気軽にお越しください。
※ご多忙の樋野先生のご都合などにより3週間ほど前までは日程変更もありえますので、このサイトや電話などで直前に今一度ご確認くださいませ。
なお、「がん哲学外来 メディカルカフェ@よどばし」の第一回目から今回までの内容は こちら にアップされていますので、時折思い出しては何度も読み返してみられるのも良いかもしれません。先生の顔写真などの画質は相当小さくしていますが、雰囲気はお楽しみ頂けると思います。
樋野先生の出版されている著書は実に沢山あるのですが、以下の本などは「がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし」でもお買い求めいただけます。本当に連日テレビや雑誌で樋野先生や「がん哲学外来」や「メディカル・カフェ」が取り上げられています。すごいです!
樋野先生の柔和な表情をご覧いただくだけでもほのぼのしますが、ことばの処方箋素晴らしいですね!よく効きます!無料!副作用ゼロです!年間の予定が出ていますので、是非、お気軽にいらしてください。途中の出入りもOKです!
様々なことで、どうしても参加が難しい方には、沢山ある書籍の中から特に以下のものをお勧めいたします☆
先生が、よく言われる言葉に「人生の3大邂逅」があります。その中の一つ、「よき読書」です!
※著書「がんに効く心の処方箋 一問一答」は、実は、最近の隠れた「メディカル・カフェ@よどばし」でのベストセラーです。他の本も人気があるのですが、ここ数ヶ月は一番人気です(笑)。
そして、なんと「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」が中国語に翻訳されました!
韓国語版も販売されていますが、題名が「偉大なるお節介」となっていますのでご注意ください。
とにかくすごいです!次から次に毎月のように著書が出ています!
どなた様も、お気軽におらしてください☆
がんの方も、がん患者の家族の方も、人間関係に疲れておられる方も、元気な方も、初めて方も、「将来のために」備えたい方も・・・どなた様も大歓迎です☆
※今後の予定は こちら
※淀橋教会への行き方は こちら
さて、この素晴らしい樋野先生の講話・・・実は日本各地、時には海外で連日のように講演をされています。
詳しくは 「一般社団法人 がん哲学外来」 をご覧ください。
現在94カ所ほどのメディカル・カフェが全国で行われていますが、全国に7千ヶ所必要と言われています。
医療の隙間を埋める場として、ますます必要が叫ばれているこの働きがさらに広がっていきますように!
世界の悩める人々のために豊かに用いられますように!