愛による全面受容と心の癒しへの道(80)

峯野龍弘牧師

第5章 心傷つき病む子供たちの癒しへの道

Ⅳ.アガペーによる全面受容とその軌跡(自立への7ステップ・法則)

さて、以上において述べ来ったように心傷つき病んでしまったウルトラ良い子たちを癒すための最良の道として“アガペーによる全面受容”の道を説いてきましたが、いよいよこのあたりでまとめに入りたいと思います。そこでこの癒しへの道の総括として、“アガペーによる全面受容”がこれらの病める子どもたちを癒して行く素晴らしいプロセスを明記しておきましょう。

小僕はこれを「癒しへの軌跡」とか「自立への7ステップ」と呼んでいます。なぜなら、彼らを全面受容し続けて行くとき、そこには必ずと言ってよいほどの“癒しへの足跡”を見出すことができるからです。これは同時に彼らが癒されて自らを健常に回復し、待望の自立にまで達して行く、まさに“自立へのステップ”をそこに見届けることができるのです。ちなみに、この“軌跡”若しくは“ステップ”には、例外がありません。必ずこの“軌跡”を辿るのです。ですからこれは以前にも申しましたように決して“奇蹟”ではなく、“法則”であると言うことができましょう。そしてそこには以下のような明確な7段階のステップ、つまり法則があります。では次にその7つのステップ(法則)について記しておくことに致しましょう。

■アガペーによる全面受容の軌跡と癒しへの7ステップ(法則)
<第1ステップ> アガペーによる徹底的全面受容との出会い

当然のことながら、まず初めに“アガペーによる全面受容”との出会いがなければなりません。しかも、徹底的全面受容との“出会い”です。中途半端な受容ではいけません。“全面受容”です。のみならず真実・真心こめての徹底した全面受容です。すでにくどいほど学んで来たように、これを「アガペー」と言うのです。人は誰でも例外なく、この“アガペーによる全面受容”に出会ったところから癒しに与って行くことができるのです。“アガペーなくして癒しなし”“アガペーによる全面受容に出会う時、癒しが始まる”これはまさしく永遠不変の真理なのです。ですから、この永遠不変の真理の土台の上に、第一のステップを築きましょう!ちなみに、ここでいま一度「アガペー」の定義を繰り返し、記しておきましょう。そして、常にこの定義を思い起して口ずさんでください。この「アガペー」を日々思い起こし、「アガペー」をイメージし心の内に反芻(はんすう)しながら、心傷つき病んでしまっている、あなたの子ども若しくは病める者を全面受容し続けてあげてください。そこに確実に癒しが促進されて行きます。そこで、「アガペーとは、相手のために、しかも自らに敵対し、不利益を与える相手のためにさえ、あえて自己犠牲を甘受して、その相手の祝福のために、自らを献げ、仕えて行く、何一つ見返りを期待しない、心と生活(生き様)である」 (続く)

峯野龍弘(みねの・たつひろ)

1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。

感謝、賞賛の言葉を豊かに注ぐ 自尊心の回復