愛による全面受容と心の癒しへの道(4)

峯野龍弘牧師

第2章 ウルトラ良い子の特質

さて、ウルトラ良い子には概ね共通するすばらしい特質が宿っています。ところが極めて悲しく残念なことは、多くの両親たちがこの彼等の特質について気づかないまま子育てをしてしまったために、その尊いウルトラよい子の性質を無視してしまい、のみならずその性質を踏み躙り、傷つけ、遂には心病み、異常心理、異常行動をさえ取らせてしまう人生の悲劇を生み出してしまっているのです。

本稿をお読みになられる方々のご家庭においては、是非ともその轍を踏まないように、よくよく留意していただきたいものです。そもそもよほど専門知識に富み、経験豊富な人々でない限り、生まれてから相当の年月が過ぎない内は、わが子のウルトラ良い子性に気づき難いのです。そこで、ウルトラ良い子性に通常はなかなか気づき難いため、一旦それを傷つけてしまってからでは、それを癒やし健常に復元するには、多くの時間と労苦がいるようになります。そこで、子育てに当たるご両親たちに次のようにお勧めします。

「どうかあなたのお子様が、ウルトラ良い子かどうか分からなくても、一向にご心配なさらないで下さい。『うちの子は、きっと極めて尊いウルトラ良い子に違いない』と思って、先ず3、4歳まで大切に、良く受容して育てて下さい」と。

そう言われることは、子供一般にとっても極めて益となり、害は全くありません。しかし、その逆は重大な失敗をしかねないのです。そうこうする内にウルトラ良い子か普通の子か、良く見極めがつくようになるでしょう。その時、それぞれの性質に即した子育てを、いよいよ本格的に取り組めばよいのです。これで決して遅くなることはないのです。

 大切に受容して愛のうちに育てられた3、4歳までの子は、その個性と固有の感性が引き出され、良く育ち、何よりも自らが親から愛されている大切な価値ある存在であること、つまり自己の尊厳を確信できる豊かで、まろやかな心をもった、のびのびと更に成長していくことの出来る良き資質を持った子供となることでしょう。ともあれ概して幼児たちは誰でも皆、本来のウルトラ良い子と見極めがつかないほど、純粋無垢で麗しいウルトラ良い子的資質を宿している者なのですから。

 そこでウルトラ良い子の特質について、次回より順次説明してまいりましょう。

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 峯野龍弘(みねの・たつひろ)

 1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

 この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

 主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。