「英国ケズィック150周年大会に参加して」

今年2月、淀橋教会を会場に日本ケズィック・コンベンション第64回大会が開かれました。箱根において始まった時から現在に至るまで、長い間、多くの人々の信仰の成長と霊的覚醒のために、この聖会は用いられてきました。淀橋教会の兄弟姉妹の中でもケズィックで恵まれ、悔い改め、様々な形の献身の決心が与えられた方々が多くいらっしゃると思います。

今年は、本場イギリスのケズィック大会が150周年を迎える年です。そこで英国ケズィック委員会が、現在16カ国に拡散したこのコンベンションの代表団を招待してくれました。9年前にもケズィック・フェローシップという名称でそのような集いがもたれましたが、今回は、私も日本代表団に加えていただき、初めて英国ケズィック大会に参加させていただきました。

英国ケズィック大会は現在、毎年7月、1週間のプログラムを3回繰り返す形式で行われています。全体の主題は共通ですが、各週の講師やプログラムには違いがあります。午前にセミナーとバイブル・リーディング、そして夕方にイブニング・セレブレーションという全体の集会という形でプログラムが組まれています。

ケズィックとは、150年前から継続してこの大会が開かれている小さな村の名前です。古くからイギリス人に愛される避暑地の一つで、湖水地方と呼ばれる、いくつかの大きな湖とそれを囲むなだらかな丘から成る美しい地域です。私は、19世紀を代表する作家ジェーン・オースティンの小説が好きですが、彼女の作品にも、夏に訪れる湖水地方の話が出てきた記憶があります。家族や子供たちと一緒に、あるいは引退生活を楽しむ夫婦が夏の休暇を過ごしながら、午前や夕方の様々なケズィック集会に参加する様子でした。慌ただしい日常を離れて、涼しい避暑地で夏を楽しみながら、霊的にも養われる、一石二鳥の形が整っていることが羨ましく思えました。

各国の代表団は、7月18日から25日までの第2週に集まりました。私は、香港経由でマンチェスター空港に到着、今回ご一緒させて頂いた、日本委員会の鎌野委員長と小西先生と合流して、鉄道で2時間北上し、ペンリスという駅で下車、そこからケズィック村までは、車で約30分かかりました。翌日の聖日には、ケズィックで最も古い教会で礼拝をささげました。6世紀ごろから礼拝がささげられてきた場所だと言われています。教会の隣には、大きなキャンプ場が見えました。ケズィックの街中にはいくつもホテルやベッド・アンド・ブレックファストと呼ばれる小さな民宿のような施設がありますが、若い家族等は、キャンプ場でテントを張って宿泊費を節約していました。キャンピングカーも多く見られました。

国際代表団の日程は、朝食後、午前の時間を共にしながら、様々な議題について発表し、討論することでした。私は、毎朝もたれるデボーションの一回を導く奉仕が与えられました。150周年を迎えて与えられた全体主題「Transformed(変革された)」に合わせて、イザヤ書35章から御言葉を伝えました。預言者イザヤが見たのは、荒れ野が喜び、砂漠に花が咲き溢れる、大変革であり大回復でした。日本に住んでいると、数少ないキリスト者の中で、福音によって世界が変わるということは、想像も出来なくなってしまうことがあります。英国ケズィック大会に参加しながら、眠っていた想像力が目覚め、神の御国がもたらす大変革の幻を再び見るようになったとお話ししました。そして、英国においても、神の御業はまだまだこんなものではない、もっと大きな主の働きを夢見るようにとお勧めしました。他の国や地域のケズィック大会がどのようにもたれているか、どのような悩みや祈り課題があるか、分かち合いました。そして、夕食に再び集まり、一つ一つの国や地域のために祈り合いました。

国際代表団が集まる時間以外に、全体集会の午前のバイブル・リーディングと夕方のイブニング・セレブレーションに参加して、大きな感動と恵みを受けました。英国ケズィック委員会は数年前、廃業していた鉛筆工場を買い取り、そこに会場を移しました。工場の建物を取り壊さず、内部をリフォームして使用していました。ケズィック大会中は、建物全体は、子供たちや青年の集会のために使用し、全体集会は、天幕の形に似た大きな仮設建物で行われました。収容人数三千人の会場が、開始時間前に満席になりました。高揚感と熱意を感じました。

150年継続された長い歴史の聖会ですが、とても現代的で驚きました。ケズィック大会の精神は、霊性ある御言葉を伝えることであり、それを守るためには、全てを変えてきたと英国委員長が話していたことが印象的でした。舞台、照明、音響、讃美、プログラム進行、衣装等、全てが今の時代にフィットしながら、同時に古くから聞き続ける福音の変わらない力強さを感じました。

世界は広く、主のなされる御業は驚きに満ちています。日本でも主がご計画されているはるかに大きな御業があることを信じます。それを私たちにも見せてください。遠い未来ではなく、私たちの世代に、私たちの目で見させてください。そのために日本ケズィック大会も用いられますように、淀橋教会も用いられますように。このような祈りが与えられました。

淀橋教会主管牧師 金 聖燮