信仰生活の羅針盤(20)
峯野龍弘主管牧師
第9章 信仰生涯における勝利の秘訣<前回に続く>
Ⅾ.神の約束に対する確信
そこで今一つ、お互いの信仰生活を勝利に導くために必要不可欠なことは、聖書で約束されている「神の約束」について、疑わず、それは必ず成就すると確信して待ち望むことです。主は、お互い神を信じ、神に従う者に対して常に深い愛をもって、その約束を果たされるお方です。
では主は、お互い信仰者に対して、いつどのようにして約束を成されるのでしょうか。その約束には、概ね以下のような約束があります。
まず第一は、聖書を通して神を信じる者たち一同に対して与えて下さっている「普遍的約束」と言うものがあります。例えば、ローマ8:28に記されているように、「神を愛する者たち、つまり、ご計画に従って召された者のためには、万事が共に働いて益となる」と言うような約束は、単に使徒パウロが、当時のローマ教会の人々だけに語った神の約束でなく、いつの時代のいずれの国の人々であろうと、「神を愛する者たち」また「神のご計画に従って召された者」であるならば誰もが、すべてこの約束に与っているのです。だからお互い一人一人もそれに該当します。そして、聖書の中には旧新約聖書全巻に亘って(わたって)、このような普遍的約束の言葉を随所に見出すことが出来ます。何と言う驚くばかりの恵みでしょうか。
第二は、その約束には、ある時代のある特定の人物に対してだけ約束された、その人物固有の「一身専属的約束」と言うものがあります。このような約束は、その人物のみに特定された約束であって、その人物以外の他の者には基本的に該当しません。例えば、神がアブラハムだけに、「私は全能の神である。私の前に歩み、全き者でありなさい。そうすれば、私はあなたと契約を結び、あなたを大いに増やす。…これがあなたと結ぶ私の契約である。あなたは多くの国民の父となる。」(創世記17:1~4)と言うような約束です。このような特定された約束を受け取った代々の信仰者たちが、如何にその約束をしっかりと受け止め、その成就を確信していたか否かによって、それがその生涯の祝福と勝利を受け継ぐ事が出来るか否かの決め手となっていたことを学ぶことは、お互いにとって極めて有益です。
そこで第三に、主の約束には今一つ、お互いの信仰生涯において体験する「今日的約束」と言うものがあります。これはお互いの日々の信仰生活の歩みの中で体験することのできる、主との深い霊的交わりの中で与えられる主の恵みです。これはまさしく聖霊の導きとその働きによるものです。例えば、お互いが大切な大きな課題や問題を抱えて、主の御前に静まり祈っていたような時に、聖書に記されている御言葉が脳裏に開け、それが深く心に留まり、これこそが今、自分に示された主の御心であり、自分の抱えている課題・問題に対する主のご解答であり、かつ主の約束であると信じさせられることがあります。その時、不思議と心に平安が宿り、その御言葉こそが、自らに与えられた主の約束であると確信させられます。これが「今日的約束」と言うものです。
ですから、このようにしてお互いが確信させられたことがあったなら、決してその確信を放棄してはなりません。この確信こそが、お互いの信仰生涯における祝福と勝利の決め手、もしくは鍵となるのですから。それ以上にこれこそが祝福と勝利の秘訣でもあるのです。
使徒パウロは、かの信仰の父アブラハムについて、こう記しています。「彼は不信仰に陥って神の約束を疑うようなことをせず、むしろ信仰によって強められ、神を賛美しました。神は約束したことを実現させる力も、お持ちの方だと確信していたのです。」(ローマ4:20~21)と。
またヘブライ人への手紙の筆者もこう記しています。「私たちは、初めの確信を終わりまでしっかりと保つなら、キリストにあずかる者となるのです。」(ヘブライ3:14)と。ですから、お互いも神の約束に対する確信を、決して放棄してはならないのです。確信し続けましょう。勝利と祝福を手にするまでは…。(続く)
◇
峯野龍弘(みねの・たつひろ)
1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。
この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。
主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。