愛による全面受容と心の癒しへの道(97)

峯野龍弘牧師

第6章 アガペーによるフォローアップ ―神の嘉される8原則―

Ⅷ、失敗を恐れず、現象に惑わされず、常に原則を繰り返し、神により頼め。

さて、いよいよ「アガペーによるフォローアップ」に関する「神に嘉(よみ)される8原則」の最後の一つになりました。それは何かと言えば、「失敗を恐れず、現象に惑わされず、常に原則を繰り返し、神により頼め」と言うことです。

そもそも本書の冒頭から終始一貫して高調して来たことは、この「アガペーによる全面受容の癒しの道」は、お互い人間の考えによって作り上げられた単なるセオリー(理論)や施策の所産ではないと言うことです。これは人間と天地万物を創造された創造主である神の奥義であり、また真理だからです。先にも一言したようにここで筆者は、何か宗教の奨めを敢えてするつもりは毛頭ありません。しかし、それを宗教と言うか言わないかは各人のご意思にお任せして、筆者自身はもしも天地万物の創造者がおられるとしたなら、そのお方はご自身がそのご意思と目的を持って創造された人間並びに万物に対して、今もなおその内に働かれて、その創造主の聖く正しい御心に従って生きかつ歩む者のために、最善な方法をもって報いて下さると言うことを信じる者の一人です。そこで更に以下において述べることを寛大な御心でお聞きいただければ幸いです。

これは筆者が長い間、心傷つき病んでしまった「ウルトラ良い子」の癒しのミニストリーに携わりながら、今日に至るまで数々の臨床的体験を重ねてきた過去の事実に基づいて申し上げていることなのですが、どうか途上において如何にケアーに失敗したり、思うようにことが捗らないと言った現象に直面しようとも、決して失敗を恐れず、現象に振り回されたり、惑わされたりせずに、ひたすら原則に立ち返り「アガペー」し続けることです。「アガペーの行くところに、向かう敵なし」と確信し、「頑(かたく)なに」と思われても、「ただひたすら一筋に、最後の一息まで」、アガペーの基本原理・根本原則に従って歩み続けて頂きたいものです。決して挫(くじけ)けたり、諦(あきら)めたりしないでください。「アガペーによる受容の癒し」は、創造主が定められた癒しの原則、いや「法則」なのですから、それにどこまでも沿って生き、歩む者があれば、必ずその良き報いに与(あずか)ることが出来るのは必然であると言えましょう。またこうも言うことが出来ましょう。これがもし「法則」であるとするならば、これに則(のっと)って歩んだ者には必ずその「法則」通りの良き結果がもたらされることでしょう。そこでこの「法則」通りの良き結果は、その「法則」の信憑性(しんぴょうせい)をまさに裏付けることとなり、更にまたこの「法則」の信憑性は、その「法則」の創始者であり制定者である天地万物の創造者の存在を、まさに実証する「神の存在証明」であるともいえるでしょう。だから失敗を恐れず、現象に惑わされず、常に原則にしっかり立ち返り、それを反復・継続して実践してまいりましょう。まさに創造主なる神により頼み、「ひたすらに、一筋に、最後の一息まで」これを貫き通すところに、神に嘉(よみ)された勝利と喜びに満ち溢れた、心傷つき病んでいた「ウルトラ良い子」の癒しの日が到来することでしょう。必ずその日が到来します。それは「法則」なのですから!(続く)

峯野龍弘(みねの・たつひろ)

1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。