愛による全面受容と心の癒しへの道(62)
峯野龍弘牧師
第5章 心傷つき病む子供たちの癒しへの道
III. アガペーによる全面受容の癒しの道
2) アガペーによる全面受容の癒しが成されるための具体的な道
■癒しへの具体的な道(前回に続く)
①子供への謙遜にして真摯な謝罪と告白 加害者告白
②子供の要求を無条件で全面的に受容することによる和解と真摯な受容の証明
③どこまでも受容し続けなければならい不断の受容
➃ 決して子供の行動を規制せず、積極的に支援する覚悟と決断(前回の続き)
かくして全面受容し続けるところに「アガペー」が息づき、また「アガペー」による全面受容の真価と真骨頂が問われているのです。ですから子供の要請を無視したり、ましてや決してその行動を規制したりしてはなりません。ひたすら受容し続け、支援し続けるのです。どうか周囲の人々の声に決して惑わされず、またウルトラ良い子たちが切願してやまない世界で唯一の真の受容者であり、かつ最高の受容者であるべき両親でもない如何なる人々の評価や言説にも、断固として揺り動かされることがあってはなりません。そうです。このような断固たる覚悟や決断こそが、心傷つき病む子らの感受性の強い純なる心に、そこまでして自らをしっかりと受容し続けようとしている、母親たちの真実と不変のアガペーと強力にインプットすることが出来、彼らの心を安息させるのです。ですからこのような時こそ、あえて心傷つき病むわが子らのために、“アガペーによる全面受容”を貫き通していただきたいものなのです。この確固たる「覚悟」とその断固たる「決断」、そして更にその上でなされる不屈の「アガペーによる全面受容」こそが、我が子をその長い間の過去の苦悩と悲しみの中から見事に救い出し、癒し、変革して行く世界で最上にして、しかも究極の確実な癒しと回復の妙法なのです。ちなみに筆者が常に座右に置き愛読している聖書の言葉の中には次のような素晴らしい言葉が記されています。
「愛(アガペー)は決して滅びない」(Ⅰコリ13:8)、また「最も大いなるものは愛(アガペー)である」(1コリント13:13)と。
この意味するところは真実の愛(アガペー)は、決して途絶えることのないものであり、そして真の愛(アガペー)は、この地上において人間にとって最大・最高・最良のものであることを明示しています。まさにこの「“アガペー”による全面受容」に優る最大・最高・最良の癒しの道は、世にないことをあらためてここに力説して置きたいと思います。
ともあれ、かくして「規制あるところには受容なく、また受容なきところには“アガペー”はなし」と心に銘記し、ひたすらわが子の癒しのために日夜邁進していただきたいものです。ここでまた聖書の言葉を引用させていただくならば、次のように言われています。 「だから自分の確信を捨ててはいけません。この確信には大きな報いがあります。神の御心を行って約束されたものを受けるためには、忍耐が必要なのです」(ヘブライ10:35,36)。
そうです。疑わず確信して「アガペーによる全面受容」を続けてください。決して無責任な他者の言説に惑わされず断固としてその確信を揺るがせられず前進してください。その時あなたは必ずその最良の報いに与ることが出来るでしょう。これは人間の創造者である神の御心であって、永遠不変の真理です。まさに天地万物の創造された当初からの人類への神の愛の法則であると言っても過言でないでしょう。ですから決してその確信を放棄しないでください。その確信は必ず報われるのですから。また聖書には更にこうも言われています。
「こういうわけですから、動かされないようにしっかり立ち、主の業に常に励みなさい。主に結ばれているならば自分たちの苦労が決して無駄にならないことを、あなたがたは知っているはずです」(Ⅰコリ15:58)と。
お分かりいただけたでしょうか。確固たる「覚悟」、断固たる「決断」、そして不屈の忍耐をもってなす「アガペーによる全面受容」は遂に必ず報いられ、決して苦労が無駄になることはないのです。どうかこの癒しへの道、癒しの真理、法則を確信してひたすらお励みください。(続く)
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峯野龍弘(みねの・たつひろ)
1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。
この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。
主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。