愛による全面受容と心の癒しへの道(5)
峯野龍弘牧師
第2章 ウルトラ良い子の特質
1).純粋志向性
さてウルトラ良い子の特質の第一は、彼らは生まれながらにして純粋な志向をする特性を有しているということです。彼らの願望し、思い図ることはいつも純粋で、その夢が大きく、理想は高いのです。そこでしばしば他者から見れば極めて現実離れしていて、単なる理想主義者である以上に空想家・妄想家のようにさえ見えます。しかし、彼らは決して異常なのではなく、健常以上に卓越したウルトラ純粋人間で、「夢見る人」であり、「メルヘン志向」の人たちなのです。彼らは幼い日はもとよりのこと、老人になってもこの特質を決して失わないのです。これは神が彼等に生まれながらにしてお与えになった、天与の感性だからなのです。
ところが世俗的な価値観に毒されている両親や他の人々は、これを理解することが出来ず、
「あんたは、いつになったら大人になるの!」、「いつまでそんな子供じみた幼稚な馬鹿げたことをしているの!」と叱りつけるのです。
しかし、これは決して子供じみた、幼稚で、馬鹿げたことではないのです。ウルトラ純粋感性のしからしめるところなのです。これこそがその当該の人物にとっても、また社会全体にとっても有益かつ重要なことであり、このような感性・特性を持った人々の存在のゆえに、人間社会全体が純粋で、理想的な、かつ夢のある美しい社会を維持することができるのです。
私の少年時代、当時お互い少年たちの心と思いを掻き立て、血沸き肉踊らせるほど熱狂させた少年漫画の作家にしてイラスト・レーターでもあった小松崎しげると言う人がいました。この人は空想科学漫画を描き、当時の科学では到底不可能かつ空想に過ぎない宇宙飛行船の存在や遠隔地との間での同時映像交信できる特別システムを夢みて、実にリアルにそれを描き出し、彼の作品の中に登場させていました。当時の大人たちでこれをほんとに実現可能だと思った人は、ほとんどいなかったのではないでしょうか。面白いけれども、これはあくまでも漫画の世界で、誰がこんな子供騙しの馬鹿げたことを信じられるものかと、おそらく一笑に付していたに違いありません。ところがどうでしょうか。それが今や現実となって、スペース・シャトルが宇宙に浮かび、テレビ、インターネットの映像が世界中を駆け巡っています。真に愚かであったのは嘲笑った世俗的現実主義者で、このウルトラ良い子系の純粋志向者ではなかったのです。
ところが実に恐るべくして、悲しきことには、今日の現代社会ではこのような純粋志向を持ったウルトラ良い子たちが、次々と嘲られ、退けられ、虐げられさえしているのです。しかもそれが愛され、誰からよりもよく理解され、養護されるべきはずの両親からさえ、言葉と行為をもって否定され、抑圧され、虐げられているのです!21世紀の現代社会は、過去の如何なる時代にも優って、このウルトラ良い子たちにとっては生きづらい、「受難社会」だとわたしは思っています。どうか純粋志向を持った極めて尊い子供や人々の中から「殉教者」を出さないで下さい!
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峯野龍弘(みねの・たつひろ)
1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。
この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。
主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。